照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

セザンヌの妻オルタンスに会いに上野の森美術館へ

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『画家の夫人』 (ポール・セザンヌ)

山手線の車内から偶然目にした、セザンヌの妻オルタンスの絵。デトロイト美術館展の案内であった。ぜひ行きたいと思いつつも、結局、ポルトガルの旅から帰るのを待たねばならなかった。

写真撮影が許可される火曜日を選んで、上野の森美術館まで出かけた。初日からだいぶ経っていたせいか、朝一番に訪れた館内はさほど混雑もしていなかった。ルノワールの前はやや人だかりができていたが、私の目指すのはセザンヌだ。

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『心にうかぶ蝶』(オディロン・ルドン)

同じコーナーに、思いがけずもオディロン・ルドンの『心にうかぶ蝶』があったので、先ずはそれを写真に収める。ルドンには、いつどこで出合っても嬉しい。ましてや、予想もしていない場所でなら尚更だ。

続いて、正面に掲げられたオルタンスの絵をじっくりと眺める。いつも思うことだけれど、もう少し綺麗に描けなかったものかと、セザンヌの妻に同情する。

流行にも少なからず関心があったらしい彼女ながら、これはどう贔屓目に見ても、服に無頓着な田舎のオバさんだ。もっさりした印象ばかりが強く残る。あの、アジサイ(オルタンシア)と一緒に描かれた頃の彼女(オルタンス)はどうしたと、一声掛けたくなる。

セザンヌにとっては端から美醜などは眼中に無く、絵としての題材に過ぎないのだから、別にいいではないかと言われたところで、やはり、チョットナという思いは残る。実際、オルタンスは自分の絵を見てどう感じていたのだろうか。ぜひとも聞いてみたいものだ。別にどうってことありませんよ、との答えが返ってくるかな。

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サント・ヴィクトワール山 (ポール・セザンヌ)