照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

クロマニョン人にビックリのラスコー展ー上野国立科学博物館

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上野の森美術館の後で寄ったラスコー展も、なかなか素晴らしかった。保存のため今は公開されていない洞窟内の壁画を、そっくり再現した絵はもちろん見事だが、2万年前に既に絵を描くことを専門としている人たちがいることが驚きであった。

実際これを目にするまで、ラスコーの壁画への知識は皆無で、絵心のある当時の人が、戯れに描いた程度とばかり思っていたが、まったく違った。顔料で、木の枝や動物の毛をブラシにして、または指などで描くなど本格的だ。


暗い洞窟の中で、獣脂を燃やした灯りを頼りに絵を描いた一団は、当時はどのような位置づけであったのだろうか。洞窟の天井に描くためには足場も必要だったとの説明書きを読みながら、教会などに天井画を描くようになった時代と、さほど変わらない気さえしてきた。

お弁当に持参したトナカイの肉を食べながら、皆で、絵の構図について話し合ったりとかしていたのだろうか。後の調査によると、牛の絵などは、最初の絵に上書きされたりもしているようだ。

絵以外にも様々な発掘品が展示されていて、骨から作った針などは、現在の物とほとんど同じだ。その針で、動物の腱を糸に毛皮を縫い合わせて衣類を作ったという。それを身にまとった当時の人の模型は、現代人とあまり変わらない。女性の身長も160センチ台と大きい。

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それにしても、穴に落ちた犬を助けようとして、この洞窟を偶然発見した少年は、さぞかし驚いたであろう。現在洞窟は、保護のため非公開となっているが、先頃のニュースで、ラスコーの洞窟そっくりに再現した第4のレプリカが完成したと報じられていた。

レプリカといえどその場に立ったら、同じワクワクが味わえるに違いない。このラスコー展でも、その一端を感じられる。ちなみにこの展覧会は、2月19日までだ。ぜひどうぞ。