プレゼントする虫ー自分の獲ったエサをメスにプレゼントするオス
昨日の朝のラジオで、昆虫写真家海野和男さんが、クリスマスにちなんだ話題ということで、「プレゼントする虫」の話をされていて、非常に興味深かった。
ヤマトシリアゲムシという、その名もまたユニークな虫は、羽を上げたり下げたりして信号を出し、プレゼントがあることをメスに知らせるそうだ。そして、メスがプレゼントのエサを食べている間に後尾するという。
このような習性の虫は他にもいて、なんと自分の獲ったエサを、更にラッピングしてプレゼントする虫もいるというから驚きだ。だが中には、実はラッピングだけで、中身は空っぽというプレゼント?を渡す虫もいるというので、よくそこまで考えつくと感心してしまう。
また虫によっては、身体の一部が獲物を持っているように見えるので、それを利用してメスを誘うそうだ。
ところで、虫がメスに求愛する際、プレゼント作戦をとるのはなぜか。それはひとえに、肉食の虫が、メスに食べられないための工夫だそうだ。エサに気が向いている間は、自分が食べられる心配がない。
しかし、自分の身体をエサと見せかけて誘い出す虫など、メスが騙されたと分かった途端、怒り狂ってオスを食べたりしないだろうか。その辺り、聞きもらしたのか、言及していなかったのかが不明だが、少し気になる。
ちなみに、プレゼント無しのラッピングだけの場合は、包みを解く間があるので、食べられずにすむようだ。こうしてみると、種を残すのも命がけだ。だからこそ、肉食虫には、プレゼントというアイデアも生まれたのだろう。
そして次世代の虫たち誕生となるのだが、そのうち何割くらいが、更に次の世代を残すべく生き延びることができるのか、そこも気になる。
「プレゼントする虫」というロマンティックな響きからは程遠く、実態はかなりシビアな内容であった。でも、種を保存するための知恵に健気さを感じる。これからは、虫を見る眼に、もうちょっと優しさが加わるかな?