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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

心の中に静かに深く分け入ってくる『シーモアさんと、大人のための人生案内』

遅ればせながら、『シーモアさんと、大人のための人生案内』を下高井戸シネマで見てきた。昨年公開されたこの映画についてはまったく知らなかったのだが、下高井戸シネマで上映されるということで、どんな内容か公式サイトの予告編を見てみた。そして、これは絶対見たいと感じた通りの作品であった。

内容については、公式サイトから引用させて頂く。

"人生の折り返し地点——アーティストとして、一人の人間として行き詰まりを感じていたイーサン・ホークは、ある夕食会で当時84歳のピアノ教師、シーモア・バーンスタインと出会う。たちまち安心感に包まれ、シーモアと彼のピアノに魅了されたイーサンは、彼のドキュメンタリー映画を撮ろうと決める。

シーモアは、50歳でコンサート・ピアニストとしての活動に終止符を打ち、以後の人生を「教える」ことに捧げてきた。ピアニストとしての成功、朝鮮戦争従軍中のつらい記憶、そして、演奏会にまつわる不安や恐怖の思い出。決して平坦ではなかった人生を、シーモアは美しいピアノの調べとともに語る。彼のあたたかく繊細な言葉は、すべてを包み込むように、私たちの心を豊かな場所へと導いてくれる。"

シーモアさんのレッスン風景及びインタビューが中心の映画で、"大人のための人生案内"と銘打っているだけあって、シーモアさんの言葉の一つ一つが心に沁み入る。また、個人で、もしくはワークショップでレッスンを受けている生徒さんが自分自身のようにも感じられて、観ている私までもがつい息を潜めて、全身でその言葉に耳を傾けてしまう。

ピアノにはまるで縁がない私でさえも、このような指導者に出会えたらさぞ素晴らしいだろうと思う。このところ、クラッシック音楽に触れるのはもっぱら日曜日午後放送のNHKFM「キラクラ」だけで、じっくりCDを聴くこともなかった。この映画を観ていると、もっとたっぷり音楽に浸っていたくなってくる。

ラストは、シーモアさんの演奏風景だが、これがとても良い。エンドロールが全て流れた後もシーモアさんの演奏は続いていて、曲の終わりが映画の終わりとなる。あたかも、コンサートの終了と重なる感じで場内も明るくなる。

シーモアさん演奏によるシューマンの「幻想曲」を聴いていると、みぞおちの辺りがグヮ〜ンと押されたように感じられて、ジーンとしてきた。ありきたりの言葉で言えば、まさに感動の波が押し寄せてくるといったところで、心の中に静かに深く分け入ってくる。本当に良い映画であった。