照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

空き家率の高さをきっかけに超高齢化社会の諸々を考える

日本では今、空き家がおよそ820万戸あるという。そして、そう遠くないうちに、それらは2000万戸に増えると予測されているそうだ。しかも、現在放置されている物件が結構多いという。

ラジオを聞きながら、その何日か前に放送されたお墓特集での、墓じまいの話等も合わせて思い出された。折しもその日のニュースでは、生活保護を受給する高齢者が急増という。まさに超高齢化社会の諸々が、いよいよ速度を増してドッドッと押し寄せてきているような図が浮かぶ。

超高齢化はかなり前から予測されているにも関わらず、制度がまったく実状に合っていない。例えば、高齢者の生活保護受給急増の背景には、国民年金の受給額の低さもあるだろう。この額は、自営業を前提に考えられているというが、誰しも死ぬまで現役でいられるわけがない。

だいたい、国民年金がスタートした昭和36年当時は、地方はおろか都市部でも、まだ3世代、場合によっては4世代同居もごく普通であっただろう。そんな時代年金は、生活費というより小遣いくらいの感覚であったに相違ない。

基準にした時代のまま推移するなら、受給額が少なくても問題としてさほど目立たないが、今や時代は大きく変わって、高齢者の一人暮らし率が高い。都会ばかりか地方でも、国民年金だけで暮らしてゆくのは、持ち家があっても厳しいはずだ。

空き家問題にしても、更地にした場合、跳ね上がる税制がネックになって放置されてしまうこともあるという。これなどは、バブル時代に土地評価額が上がりすぎた時、固定資産税を抑えるための対策として導入された制度だそうだ。建物を取り壊すのにお金がかかるうえ、固定資産税が6倍(だったと思うが)になるのでは、ためらってしまうに違いない。これなども、時代の変化に合わせて早急に見直した方がいいと思う。

またたとえ更地にしても、人口減少が激しく買い手がいないとか、よしんば売れたとしても、土地の売却額よりも取り壊し費用が上回るとか、なかなか悩むところだ。かといって、それぞれの自治体が放置された空き家を処分するには、相続者の同意が得られなかったり、もしくは費用の面などで、かなり難しいという。

相続者の同意といえば、墓じまいでも同様に、親はそれを望んでいないに違いないとか、無くなるのは寂しいとか、自分では何もしないのに口だけ出す身内が多いそうだ。結局、何でもただ先延ばしをしているうちに世代が変わり、更に複雑になってしまうという。

空き家問題解決には、さまざまな要因が絡んで、単純ではないらしいが、やがて2000万戸に膨れ上がるっていうのだから、ぐずぐずしてはいられない。何か起こるたび、ペタペタと紙を貼って穴を塞いでいるのではなく、本腰を入れて制度改革に取り組んでもらいたいものだ。

それにしても超高齢化社会って、今さらながらだが、相当大変なことだとしみじみ思う。せめて、自分の身仕舞を考えておこうと、体力、気力が充実している今のうちからせっせと持ち物を処分している。