照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

テレワークが働き方の主流になるのはどのくらい先なのだろう

先日ラジオで、テレワークについての特集をやっていて、ある大手酒造メーカーの人事担当者が、制度を導入した頃から現在まで、利用者を増やすためどのように取り組んできたかについて話されていた。

 

制度導入当初は、あまり利用する人がいなかったので、さまざまな見直しをして、より利用しやすくしたところ、現在では、対象者5千人のうち7割が利用しているそうだ。パソコンへのログイン、ログアウトがタイムカードの代わりになっていて、10分単位での利用が可能という。

 

申請さえしてあれば、仕事するのは自宅だけでなく、カフェでも図書館でもいいそうだ。また、時短を利用している人、もしくは週2、3日出勤している人は、テレワークとの併用ができるという。いつどこで仕事しようと、1日の労働時間を満たせばいいので自分の都合に合わせられる。また、今やパソコンを使ってのテレビ会議が主なので、会議のために出社する必要もないそうだ。

 

などの話を聞きながら、しかし、そんな自由な働き方ができるのに、3割が利用していないというのはなぜだろうとむしろそちらが気になった。テレワークに関しての街中インタビューや番組に寄せられたメールでは、会社に行かないと取り残されたように感じるとか、顔を合わせて仕事をした方がいいとか、自宅でちゃんと仕事をしているのか気になるという意見もあったが、やはり、心理的要因が制度利用をためらわせているのだろうか。

 

テレワークどころか、フレックスタイムにも無縁な職場にいたものからすると、通勤ラッシュのストレスがないだけでも利用価値ありと思うのだが、実際のところ、通勤の大変さよりは、出社している安心感を選ぶ人が多いのかなと思う。かつて私の職場でも、身体的事情(足)で出勤が無理となった同僚が、1年以上に渡ってのかなり長い期間、特別に自宅勤務を許されていたことがある。

 

きちんと仕事しているか確認の意味もあって、テレビ会議システムを利用して業務担当者と毎朝連絡を取り合っていた。最初は、監視されているみたい(ってその通りなのだが)と思いながら様子を見ていた私たちだったが、やがて、同僚の方が、毎朝の定期連絡で画面を通じて顔を合わせるのを心待ちにしているふしがでてきた。

 

この同僚然り、案外大多数の人が、職場からずっと離れていると、疎外感や孤独感を抱くようになるのかもしれない。単身者ばかりか、家族がいても、子供たちが成長すると会話が激減して、職場が唯一安心していられる場所になってしまったのかも・・・なんてうがった見方をしてしまう。

 

前時代の化石のようなかつての職場を振り返れば、年配の管理職から、しばしばそのような感じを受けた。だから、テレワークを取り入れる議論さえ問題外という、群れ集まっていることが大きなポイントの会社だったのだ。そのため、テレビ 会議システムを導入したものの、活用には程遠かった。

 

中小企業が9割を占めている日本では、まだこのような会社が多いと思う。しかし、あとどのくらい経つと、人々の意識が変わって、働き方がもっとフレキシブルになるのだろう。今の30代が、経営の主流になる頃までは無理かな。仕事から離れたおまえが心配することではないと言われそうだが、やはり気になる。