送電線がまるで団地状態のコウノトリの巣にはビックリ!
上から下まで団地状態のコウノトリの巣
エヴォラからリスボンに向かう途中、コルク樫の林の中に立つ棒、もしくは枯れた木のてっぺん、あるいは送電線の横に立てられた高い棒の先にと、幾つものコウノトリの巣を見た。でも、これはまるでコウノトリの巣団地とでも名付けたいようで圧巻だ。この周辺では、他にも同様の巣が幾つか見られた。
送電線は等間隔で立っているのに、なぜひしめき合うように同じ場所に巣を作るのだろう。高い所を好むのなら、1家族ごとに別の送電線を使用するのも可能なのにと思うのは、人間の考えか。
リスボン到着まで30分程の距離となった地域で見たので、これはもしかすると、人間の集合住宅に倣ったのかな。〈俺っち、都会のコウノトリだぜ!やっぱりマンションは何かと便利だ。ちょいと餌取りに出かける時も、お隣さんにヒナたちを見ていてもらえるし〉。または、町や村のコウノトリたちと差をつけようとしただけなのかもしれない。
そんなわけないか。コウノトリたちには、(多分)縄張りの意識はあっても、町や村、都会なんて概念あるわけ無いね。そんなの人間が作りあげた共有の認識であって、野生動物たちにはまったく関係ないのだから。でも、一定の地域のみで活動する鳥たちは別にして、もし渡り鳥たちにもパスポートが必要となったら、入国審査ではどのような事が質問されるのだろう。
ちなみに、今回乗り継ぎのフランクフルトでは、昨年までは質問もなくスタンプを押してくれるだけだったのに、全員が窓口で何か聞かれていた。私も、滞在目的に最終入国先や滞在日数の質問があり、帰りのチケットの確認もされた。
ところで鳥たちの場合滞在目的は、例えば、〈ちょっと寒くなってきたので温かい国へ〉と答えたらいいのかな。それとも、〈カクカクシカジカの理由で、日本の九州まで、滞在日数は何日でヴィザも持ってます〉と厳密に言わないと撥ねられてしまうのかな。もちろん単なる空想なので、チョットチョット!大丈夫とのご心配は無用だ。
私がコウノトリの巣を撮っていると、隣席のおばあさんが、前方を指してあそこにもあるよと教えてくれた。でも、残念ながらそこは一軒家で団地ではなかった。だが、親切に応じて写真に収める。
こちらはてっぺんではなく安全そうな中央辺りに巣
しかし、コウノトリの習性について益々興味が湧いてきた。送電線の場合は極端にしても、生息地ごとにこじんまりとまとまって巣作りしているようだ。基本的には高い所がお好きのようだが、この送電線のように、結構下の部分にも巣を作っているのも気になる。
バスがエヴォラを出て少しすると、巣が3ツ、4ツあった。まだあるだろうと写真も撮らずに見ていると、道路沿いにはそれ以外どこにも見当たらなくなる。結局、スマホを取り出す間も無く、しばらく走ると、また3ツ、4ツ見えてくるの繰り返しであった。
そして、見納めかのように、送電線の辺りにはずいぶん沢山の巣があって、ヒナたちもいっぱいいた。リスボンでこの旅も終わり。〈これでドウダ!〉とばかりに、俄かコウノトリファンに見納めさせてくれたのかな。有難う。