照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

遺跡好きにはワクワクのメリダ〜スペインで最大のローマ時代の遺跡がある町

メリダには、ローマ時代の遺跡が多く残されている。だが、今回メリダへ行ったのは、遺跡への興味以上に、マドリッドからポルトガルに抜けるには最短距離のよう思えたからだ。

 

チケットを予約した当初は、ビルバオやセビーリャ、その足でファーロ(ポルトガル)と欲張ったことを考えていたため、帰国の便はリスボンからにしていた。しかし、それでは移動時間が長すぎて、疲れる元ではないかとなった。

 

出発する前、旅そのものを取りやめようかどうか散々迷ったのは、身体の疲れが抜け切っていなかったからだ。それなのに、やたら盛り沢山にして旅先で調子でも悪くなったら最悪だ。そこでルートを再検討した結果、メリダからバダホス経由でエルヴァス(ポルトガル)へ入ることにした。

 

どこを訪れても、その土地にはその土地の良さがあって、単純な私はすぐに大感激してしまうのだが、それに違わず、メリダも良い街であった。といっても、それじゃあ割引しておくかと思ったら大間違い。遺跡ばかりかコウノトリの巣もいっぱいある。オススメの町だ。ちなみにここには3泊。

 

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ローマ橋 (アルカサバより)

 

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ローマ橋

 

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ローマ橋からルシタニア橋方面を

 

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中洲の向こうにハゲ山(多分)

 

実際、荒涼とした景色に飽き飽きした目に映ったメリダは、まさにオアシスの如きであった。グアディアナ川に架かるルシタニア橋の中程から、中洲に繁る木々に群れる鳥たちやローマ橋、それに遠くの山々などを眺めていると、心が潤ってくる。(近くによればハゲ山でも、遠景となれば美しい風景の一部となる不思議)

 

ローマ橋を渡っている時も然り。朝のあいさつに忙しい小鳥たちの声も、耳に心地よい。唯一、暑いのだけが難であった。だが、それも逆に捉えれば、暑いからこそのオアシス感なのかもしれない。

 

それと、ここメリダには信号機が極端に少ない。ルシタニア橋に向かう手前の道路など、それなりに道幅もあり、交通量も結構多いのだが、そんな所でも信号がないので、初めは戸惑ってしまった。

 

誰か渡る人を待って付いて行こうか思案していると、何のことはない、車が停まってくれる。通行人は、歩行者が優先でしょうというように、手を上げるでもなく、ましてや停まってくれた車に頭を下げるでもなくスタスタと歩いて行く。これが、人と車の本来の姿なのかなと思うが、多分、人口密度もかなり関係しているに違いない。

 

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 ところで、紀元前24年に建てられたというローマ劇場は、これだけのものがよく2千年以上も残ったなと感心する。1972年に建築現場から偶然発掘されたというサラゴサのローマ劇場の比ではなく、ともかく規模が大きい。ちなみに、現在でも古典演劇祭の会場として使われているそうだ。ところで、ここにある豊穣の女神像はレプリカで、本物は、すぐ近くの国立ローマ博物館にある。

 

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 円形劇場

 

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また、ローマ劇場に隣り合って、紀元前8年に建設された円形劇場がある。こちらでは、剣闘士の戦いや戦車競技などが行われたそうだ。ここから、更に15分くらい歩くと、もっと広いローマ競技場がある。私は遺跡巡りの共通券を買っていたので、その近くのサン・ラサロ水道橋を見がてら行ってみた。但し、こちらは広い野っ原に所々盛り土があるといった程度なので歩かず、簡単なビデオ上映を見ただけに留めた。

 

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アルカサバ

 

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アルカサバ

 

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誰かの家跡

 

ローマ橋を守るための重要な砦であるアルカサバ(ムーア人によって作られたという)や誰かの家の跡(名前を失念)なども見て回ったが、どこも原形からは程遠い姿であった。そのためか、校外学習の生徒たちを別にすると、訪れる人はまばらであった。メリダでの遺跡の花形は何といっても、ローマ劇場と円形劇場で、観光客の数が圧倒的に多い。

 

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豊穣の女神

 

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博物館地下の発掘現場

 

それらもさることながら、メリダで発掘されたローマ時代の遺物が展示されている国立ローマ博物館は必見だ。見て回りながら一人で、「凄いなメリダ!!」と唸っていた。地下には、ローマ時代の家などの発掘現場がある。ここにも小学生のグループがいて、私に手を振ってくれた。まったく可愛らしいものだ。

 

子どもといえば、メリダでは子守するおじいさんを何人か見かけた。2、3歳くらいの子を遊ばせているおじいさんに、ベビーカーを横に置きベンチに座っているおじいさん。または、ベビーカーを押すおじいさんに、おばあさんが付き添っている例もあった。日本では、おばあさんの子守はよく見かけるが、おじいさん一人でというのは見たことがない。

 

ベンチに座っているおじいさんなどは、通りがかりの人が、入れ替わり立ち替わり(多分)孫をあやしていても、われ関せずという顔をしているのが可笑しかった。それとは対照的に、ベビーカーの中の女の子はとっても愛想が良く、あやされるたびニコニコするので、皆さん足を止めてゆく。

 

少し離れたベンチからその様子を見ていた私は、実際のところ、おじいさんは子守をどう思っているのかなと気になってしまった。今日もお願いしますねと、若夫婦に託され、仕方ないなと出掛けてきたのか、もしくはおばあさんから、お昼の用意ができるまでそこいらを一回りしてきてと出されたのか。

 

まあ、私が気にすることではないが、さすがコウノトリがいっぱい巣作りしている町だけあるわと、妙に感心してしまった。しかしメリダは、本当にいい町だ。