照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

バダホスから国境を超えてエルヴァスへ〜スペインからポルトガルまで12キロ

バダホスからはなんと、リスボン行きのバスも出ていた。よく調べもせずに、バダホスをかなりの田舎だと思い込んでいた私は、さすがに、バスがターミナルに近づくにつれ、その認識を改めてはいた。(エル・コルテ・イングレスの買物袋を下げた人もいっぱい見かけたので、ここにはデパートもあるようだ)

 

しかし、電光掲示板の行き先にリスボンとあるのを見て、(ナ〜ンダ、バダホスからリスボンまでの直行便もあるんだ)と、正直びっくりした。自分の情報収集の拙さを棚に置き、だいたい、こんな情報知らなかったよという思いが先に立つ。

 

もっとも、たとえ知っていたとしても、エルヴァス、エヴォラからリスボンへというルートは変えなかっただろう。既に2度ほど行っているエヴォラはともかくとして、エルヴァスにはぜひ足を留めてみたかった。だからビックリの底にあるのは、選択肢が増えたはずなのにそれができなくて残念程度の悔しさだ。どうせ選ばないなら、関係ないんだけどね。

 

ところで、エルヴァスへは小型のバスで行く。乗客も10人足らずだ。バスターミナルからそのままエルヴァスを目指すのかと思いきや、市内で1ヶ所停まって乗客を乗せた。その後、橋を渡ってから車専用道路に入る。国境超えのことなどすっかり忘れ、時計も合わせないでいるうちに、次第にエルヴァスらしき町が見えてきた。

 

道路の前方、右側にバスターミナルらしき建物も見える。そろそろ到着かと思っていたらそちらには行かず、バスは真っ直ぐ進む。アレレッ?と思う間も無く、右に曲がると坂道を登って行き停車した。

 

町への入り口のようだが、ここが終点なのか?それとも、まったくそれらしくはないが、実はここがバスターミナルなのか、と、頭の中にハテナマークが渦巻く。乗客も、皆席を立ってドアに向かう。

 

バダホスのバスターミナルで私の後ろに並んでいた女性が、ドアの方へ進んで来たので聞いてみたところ、違うという。そのやりとりに気づいた運転手さんが、バスターミナルは次だと言う。すると、私の席の通路を挟んだ反対側の女性も、バスターミナルは次と教えてくれた。

 

バダホス市内の停留所から、大荷物を持って乗り込んで来た女性だ。彼女もバスターミナルまで行くそうだ。そして私に、リスボンへ行くのかと聞いてきたので違うと答えたが、お互い言葉が通じず、推測では話も進まないため会話はそこまでとなった。

 

この女性とは、翌日も道でばったり会った。似ている人だなと思って近づいて行くと、彼女も気づき、手を振ってくれた。小学生くらいのお嬢さんも一緒であった。通じない言葉での会話のはずが、不思議とよく解る。昨日との違いは何って感じだ。でも、人と人とのコミュニュケーションの基本って、まさにこれかなと思う。それもそうだが、真剣に言葉の獲得にも努力しなければと自分に檄を飛ばす。

 

それにしても、バスが町の入り口まで行くこともまた、知らなかった。ガイドブックには、バスターミナルは城壁の外にあるので、市内中心部までは坂道を2、30分歩く・・云々と書かれていた。地図を見ても、確かに遠そうだ。(本ではタクシー利用を勧めているが、私が到着した時はタクシーも見当たらなかった。)もちろんポルトガル国内からのバスということであって、バダホスからのバスは想定していないだろう。

 

でも、バスがここまで来るなら、城壁内に宿を取っても何の苦労もなかったはずだ。荷物を持って坂道を登るのもちょっと大変そうなので、ホテルはバスターミナルの前の通り(幹線道路)を少し先に行ったところにしていた。城壁内のホテルの方がお手頃だったのに、との思いがチラッと頭を掠めたが、次の移動もまたバスなので、結果としては城壁外にして正解であった。

 

ちなみに、私が今回宿泊したホテル(サンタ・ルジア)は、とても良かった。ここへくるまでにも、スペインで泊まった所はどこもスタッフの皆さんの感じが良かったが、ここは更にその上を行くという心地良さであった。

 

私は2泊しただけだが、ここにはプールもあるので、もっと長くのんびり過ごすのもいいかもしれない。但し、観光目的だけだったら、時間を持て余してしまうかもしれない。心身をゆったり解きほぐすのをメインに、見学は散歩感覚でちょっという向きにはまことにぴったりなところだ。

 

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アモレイラの水道橋

 

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アモレイラの水道橋

 

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町への門

 

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城壁の鋭角になっている部分

 

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町への門 

 

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 城からの景色

 

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城からの景色

 

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城からの景色

 

城壁で囲まれた町は、地図で見ていると、いかにも国境らしくその形が特徴的だが、上空から俯瞰する以外、全体を見渡すことはかなわない。実は、ここに来たいと思った第一の理由がこの形であった。国境防衛の最前線に立つ町って、周りはどうなっているのかなと、その地形にも興味があった。

 

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グラサ要塞 中央の山の天辺

 

町の中心レプリカ広場を過ぎ、城の辺りまで坂道を進んで行くと、遠くの山の天辺にグラサ要塞が見える。あの位置から周囲を見張っていたのかと、その場に立ってみたい気もするが、そこまでの距離はかなりありそうで、暑い中歩いて行くのはまず難しい。

 

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サンタ・ルジア要塞 中央奥の緑の部分

 

もう一つの、サンタ・ルジア要塞の方は、バスターミナルの道路を挟んだ丘の上にあって、こちらは歩いても行ける。但し、私が行った時は間が悪く、3時までは見学不可ということで諦めた。前日行けば良かったかなと少し残念。翌日は朝のバスでエヴォラへ移動だ。