照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

リスボンでうどんが食べたくなったが叶わず〜帰国の翌朝五反田・おにやんまへ

旅行から帰った翌日の朝、うどんを食べに五反田のおにやんまに向かった。ちょうど2ヶ月前、旅の最終地リスボンに着いたらうどんを食べようと楽しみにしていたのだが、ランチで訪れたAron Sushiのメニューにうどんはなかった。それで、帰国したらまずうどんとずっと楽しみにしていた。

 

おにやんまは、五反田駅近くにある立ち食いうどんの店で、ここへは2度目だ。とり天は前回食べているので、今回はただのかけうどんにした。出汁は、私には塩気がやや強めだが、うどんが美味しい。さぬきうどんが食べたくなったからといって、いつでもおいそれと香川まで出かけられるわけではない。そんな時、ここへくれば満足できる。

 

ところで、なぜうどんがそんなに食べたくなったかといえば、スペインからポルトガルに入って、食事の量の多さに加え、疲れも出てきたのか、次第に胃が食べ物を受け付けなくなってきたのだ。少し食べると、お腹が一杯になってしまう。それで急に、和食を食べようという考えが浮上し、リスボンに着いたら、先ずはうどんもあるというAron Sushiへ行こうとなった。

 

私はこれまで、外国を旅していて積極的に和食を食べようとは、ほとんど考えたことはなかった。だいぶ前、ダブリン(アイルランド)で、通りがかりの店に張り出されたメニューに興味をそそられて、どんなものだろうと「鮭の照り焼き」を注文したことがあった。

 

茶色の液体が入った丼に鮭が浮いているのを見て、これが和食と思われているのかと心底驚いた。皿に盛られたライスの横には、付け合わせにしては多すぎるライスと同じ量のワカメがあった。しかも味なしで、仕方がないので、丼のソースに浸しながら食べた。おまけにその店には、ギネスはおろかアイルランドのビールは置いてなくて、青島ビールを頼むしかなかった。

 

Aron Sushiでメニューを見た時、うどんが無いなら魚定食にしようかと思って尋ねたところ、サーモンだと言う。ダブリンの二の舞になってはと、ちらし寿司にした。

 

突き出しなのか、煮物の小鉢と大ぶりの椀にたっぷりの味噌汁が最初に出て来た。塩分は多いながら、味噌汁を飲み干すと食欲が一気に戻ってきて、続いて運ばれたちらし寿司は、具は残したが、すし飯はきれいに食べた。正確な産地までは分からないが、久しぶりに日本の米を口にしたという感じであった。

 

今や、エヴォラにも寿司店はあり、エルヴァスのスーパーにだって握り寿司はある。リスボンのデパート地下にも、握り寿司のコーナーはあるが、いずれも試したことはない。かつて、これもダブリンでだが、歯が折れそうに硬いすし飯に閉口してからは、スーパーなどで売られている寿司に関心は無くなった。

 

うどんもあるという情報に惹かれて意気揚々と行ったAron Sushiであったが、うどんが無いと分かりかなりガックリ。注文したちらし寿司にはさほど期待せずにいたのだが、意外にも、味噌汁といい、すし飯といい、私の胃にすんなり収まって大満足であった。少食の悩みもここですっかり解消されて、反転してむしろ大食気味になった。

 

ちなみにAron Sushiは、地下鉄サン・セバスティアンの駅の近くにある。にも関わらずちょっと迷いながら着いてみれば、何のことはない。昨年11月、滞在したホテル(レアル パルケ)からグルベンキアン美術館に行った際通った道沿いにあった。

 

和食に関心がない時というのは、そんなところかもしれない。ホテルのすぐ側にある時は知らなかったのに、今回は、滞在したホテル(ホテル リスボア)の最寄り駅アヴェニーダから、3駅地下鉄に乗ってやって来た。

 

すし飯で食欲が戻ってきたのに気を良くしたものの、うどんへの思いは消えてなく、翌日は、ホテル近くの上海ファミリーに行った。焼そばと決めていたはずが、いざメニューを見ると、チャーハンも捨てがたく迷う。だが、焼そばはセットメニューになっており、前菜が選べる。結局、トマトスープに惹かれ焼そばにした。

 

最初はその量に、内心、食べきれないよと思ったが、塩気は少々強いものの、また、うどんとはだいぶかけ離れるが、待望の麺類ということもあって完食。特別にうどん行脚するとか以外は、日頃は、麺類全般さほど食さないのだが、リスボンでなぜか急に麵党になってしまった感がある。

 

その勢いが続いていたものだから、帰国した翌朝、いそいそと五反田まで出かけたのであった。おかげで落ち着いたのか、それ以降麺類への情熱は影を潜めてしまった。私の場合、ラーメンは年に一度どころか数年に一度くらいなので、ラーメン党ではまったくない。でもいずれそのうち、ラーメン、ラーメンと頭の中で渦巻く日がくることもあるかな。うどんだって、香川へ行くまでは関心外だったのだから。

 

ともあれ、さぬきうどんが食べたい人に、おにやんまはおすすめだ、但し、蛇足ながら、出汁には期待しない方が無難だ。ジュワッと口内に広がるいりこ出汁がお望みなら、やはり香川まで足を伸ばした方が圧倒的な満足感を得られる。