照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ボクはエムエム1歳〜今日トラ子さんが来たよ

今日トラ子さんが来たよ。一緒に遊んで、とても楽しかった。

 

お昼寝から目が覚めたボクは、ハイハイしてお部屋から出たの。するとリビングのドアが開いていて、玄関の方から声が聞こえたんだ。ボクがそっちに顔を向けると、ママと誰か知らない人がいて、ボクの方を見ている。

 

「アラッ、起こしちゃったかな」と言いながら、二人でボクのところまで来たよ。ボクを抱っこしたママが、「エムエム、トラ子さんよ。抱っこしてもらう?」と言ったので、ボクは、慌ててママの胸に隠れたんだ。

 

でも、ちょっと気になる。そっと顔を上げて、ママの肩からのぞいて見た。アレッ?おかしいな。あの人がいない。変だなともう少し首を伸ばしてみたら、あの人も、ママの後ろからそっと顔を出してきた。でも 、目があったら、またすぐに見えなくなってしまった。

 

ウン?何だか面白そう。今度は、反対側からママの背中をのぞいてみたよ。するとあの人も、同じようにこちらをのぞいていたんだ。でも、またすぐ消えちゃった。次はどこから現れるかなと、あっちをのぞいたりこっちをのぞいたりしていたら、あの人がいきなり、「バアッ!」と言って、ママの肩の上から顔を出したんだ。そして、「エムエム君こんにちは。私トラ子。ずいぶんお兄ちゃんになったのね」と言ったの。

 

そりゃそうさ。ボクはお兄ちゃんだよ。なんていったって、一歳になったんだもん。さっきは、ママを探してハイハイしたけど、もう歩けるんだ。でも、トラ子さんって、覚えてないな。きっとボクが、まだハイハイもできないずっと小さな時に会ったのかもしれないな。

 

ところでボクは、ちょっとだけトラ子さんに抱っこされてから、ベビーサークルの中に降ろされたんだ。トラ子さんも入ってきて、「絵本いっぱいあるわね、どれがいいかな」と言って、ボクの意見も聞かずに勝手に読み始めたの。ボクだって、お気に入りっていうものがあるのに。でも、それをどう伝えていいのか解らない。仕方がないからボクは、トラ子さんが持っている本をひったくって箱に入れたんだ。

 

するとトラ子さんは、「アラアラ、次々に箱に入れてしまっているけど、どれも気に入らないのかな?」と不思議そうな顔をする。ボクには、好みがないとでも思っているようだ。

 

ちなみにトラ子さんは、自分のお気に入りの『はらぺこあおむし』を開いて、小さな穴に指をいれようとしている。でもこれは、お出かけ用サイズなので、トラ子さんの指は入らない。残念そうな顔はするが、それでも諦めずに、何度も小指の頭を入れようとがんばっている。ボクの指じゃないと無理なんだけどね。でも今は、『はらぺこあおむし』の気分ではないのだ。

 

トラ子さんは、ボクに読んでくれるというよりも、自分が楽しみたいだけみたいだ。おいおいトラ子さん、ボクだって本を読んでもらうのは好きなんだよ。そこでボクは、お気に入りの本をトラ子さんの方へ出したんだ。

 

「さいだもん?さいだもんって何だろうね?」と言いながら、トラ子さんはページをめくり始めた。するとキッチンからママが、「それ、『1さいだもん』なんですよ」と声をかけてきた。まったくトラ子さん、1の字が見えないのかね。ボクだって、変だなと思ったよ。

 

だいたいトラ子さんは、ペンギンが表紙になっている絵本を広げて、「カラスのエムエム君が」と始めたんだ。たまたま横にいたママが、「アッ、それペンギンだと思います」と訂正したんだよ。それを聞いたトラ子さんはビックリしたように絵を見直してから、「本当だ。黒いからカラスだと思っちゃったけど、よく見ればペンギンだわね」だって。しっかりしてねトラ子さん。本当に、本、読めるの?なんだか、ボク心配になってきたよ。

 

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でもね、ちゃんと読んでくれたよ。その後で、トラ子さんとボクは追いかけっこをして遊んだんだ。柵の上でミニミニ消防車を走らせるトラ子さんが、ウーウーと口サイレンを鳴らしながらボクを追いかけて来るの。ボクは追いつかれないように、ベビーサークルの内側を逃げて行くんだよ。トラ子さんの手が届かない安全なところまで来たら、ボクは積み木の車に腰掛けてちょっと一休み。

 

「アララ、いいところで休んじゃって、それならこっちから行くか」って、トラ子さんが無理矢理奥まで手を伸ばしてきたんだ。ボクは慌てて立ち上がると、また逃げはじめたんだ。あっちへ行ったりこっちへ行ったりしているうちに、今度はトラ子さんが、ドッコイショと椅子に座っちゃったんだ。

 

まだ遊び足りないボクは。ミニミニ消防車を持って、トラ子さんの方に差し出してみたの。するとトラ子さんは、「まだ遊べって?」と言うと立ち上がって、またウーウーと口サイレンしながら、ボクを追いかけはじめたんだ。

 

楽しくて楽しくて、トラ子さんが来てくれて、今日は本当に良かったよ。パパが帰ってきたら、一番にお話してあげよう。でもボクのエムエム語、パパ解るかな。