照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

シュムリアップはBeautiful?〜ブルーパンプキンで出会ったオーストラリア人

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屋根付きの橋から子供達の水遊びを眺める   右側 橋の手すり上部辺り
 
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見学を終えホテルで休んだ後、ブルーパンプキンまでトゥクトゥクで行く。食事が来るのを待っていた時、少し離れた席の女性と目があった。軽く会釈すると間もなく、その方が私の前の席に移ってきた。
 
食事の間は、とりとめもない世間話に終始した。母国語での会話をしたかったのであろう。「あなたを見た時、英語を話せると思ったのよ」の言葉に、会話相手としては語学力が不足している私は恐縮してしまった。
 
ショートパンツ姿の若い女性を目にする度、私はあの格好が嫌いだと力説していたのも可笑しい。オーストラリア・メルボルン出身で、ここシュムリアップで英語教師をなさって3年になるという。
 
ここのカレーが好きで、仕事帰りに時々立ち寄るそうだ。この街が好きだというが、「beautiful」という言葉にやや驚いた。その対極のような気がしたが、街歩きをしているうちに、僅かながら彼女の気持ちが理解できたように思えた。
 
三日目は街歩きに徹した。街には若い人が多いせいか、エネルギーが感じられる。オールドマーケットから通りへ出れば、丁度停まっていたスクールバスの中から、子供達がはにかみながら挨拶してくれる。私も手を振って答える。(この国の未来は君達の中にあるんだ)と励ましたい思いも、旅人の感傷か。
 
内戦で途絶えたかつての絹織物を復活させようと、この地に住んで奮闘されている、京都出身の森本さんという方が設立されたクメール伝統工芸研究所を訪ねた。
 
床下にある工房から見学する。糸を紡ぐ人、機織りをする人、他の作業をする人、それぞれが黙々と仕事に勤しむ。傍らの幼子が物珍しげに私の方へ寄ってくるが、あやす言葉も持たずに残念であった。いつもの事だが、カタコトでも覚えてくるべきであったと悔やまれる。
 
高床式の建物の上には展示販売スペースがあり、茶系の絹のスカーフを買い求める。珍しい黄色の繭から織られたストールもあったが、私には使う機会が無さそうで止めておいた。その後は、またぶらぶらと歩く。
 
屋根付きの橋の上に置かれたベンチに座って、水遊びの子供達を眺めたり、蓮の実売りに物珍しさを感じたり、楽しくなってくる。確かにbeautifulだ。
 
汗だくになりながら、あちこち歩いてホテルまで帰ってくる。数分歩いただけで汗がふきだしてくるのに閉口して、すぐトゥクトゥクに乗ってしまう自分にしてはよく歩いた。
 
四日目は、夕方には空港へ向かうので、なるべく汗をかかずにいたいと思った。ホテルに待機しているトゥクトゥクに乗って、冷房が効いたブルーパンプキンへ食事に行ったり、ホテル内でマッサージを受けたりして過ごした。
 
プールサイドで日差しを浴びる気にはなれず、冷房の効いたロビーで民族楽器に耳を傾けたりしてリラックスしながらこの数日間を思い起こしていたが、あっという間の滞在であった。また訪れる日はあるだろうか。