照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

エネルギッシュな友人たち

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「自ら機会を創りだし、機会によって 自らを変えよ」と書かれたプレートを、会社を辞めた後も長いこと部屋に飾っていた。初めて勤めた会社の社訓だが、とても好きな言葉であった。無邪気な社会人1年生は、自由な雰囲気の若い会社で伸び伸びとしていた。ただあまりにふわふわしていた心は、仕事の何たるかも掴まぬうちに、別な世界へ飛び出してしまった。辞めた後も、遊びに行ける鷹揚な雰囲気に甘えて時々お邪魔した。途中でばったり創業者である社長とお会いして、コーヒーをご馳走になったのも懐かしい思い出だ。その方も昨年、鬼籍に入られた。翌月行われたお別れ会へ出席する事ができなかったのは、残念であった。代わりに、旅先から日本の空へ向けて合掌した。
 
若い会社では、しきたりや前例なども特になかったように記憶している。その後入社した会社の体質があまりに古い事に驚き、初めてお世話になったこの会社は、ずいぶん進んだ稀有な存在であった事が解る。若い会社には若い人が集う。その当時の同僚や先輩とは、空白の時期もあったが、今尚お付き合いさせて頂いている。会えばいつでもかつての仲間同士の気楽さで話ができる。このような輪に入れて頂けるのは、短期間在籍者としてはとても有難いと感謝している。
 
先日は、先輩のSさん、同期のTさんと会う機会を得た。Sさんのエネルギッシュさは、私には到底まねできない。会社を早期退職した後、自分で会社を立ち上げて今も活躍中だ。仕事の合間には、テニスの練習にボランティア、国内外への旅行とリフレッシュも忘れない。それに加え、友人知人にかつての部下達との会食と、そのタフさに圧倒される。話題豊富なSさんの話はいつも楽しく、こちらまで元気が漲ってくる。
 
花屋の経営者であるTさんもまた、いつもにこにこと穏やかな表情ながら相当にエネルギッシュだ。彼女の友人が個展を開いた時、会場である銀座の画廊で待ち合わせした事があった。先についていた私がソファに腰掛けていると、お嬢さんたちと一緒に彼女が入ってきた。その瞬間、匂い立つように艶やかな大輪の花が、目の前に出現したかのような錯覚にとらわれた。人は皆、口にこそしないが、多かれ少なかれ苦労した時期があると思う。彼女もまた、私など崩れ落ちてしまうような、もの凄い経験をしている。だが、そのような様子は微塵も窺えない。彼女には、「艱難辛苦汝を玉とす」という言葉がまさに当てはまる。どのような事が起ころうと、笑顔で自らの糧にしてしまう強さがある。
 
SさんもTさんも本当に素晴らしく、会う度エネルギーの補充をさせて貰っている。今回都合が会わなかったかつての同僚たちもまた、それぞれが自分の道を着実に歩んでいる。いい仲間だなと思う。自分も彼女たちのように、いつも人に元気を届けられる存在でありたいと願っている。