照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

パート従業員のサービス残業?

ある製パンメーカーの工場で、パート従業員への残業代未払いがあり、その額は、一人当り最大で月に約11万円という記事に驚かされた。昨年1月に、パート女性1人が作業中に脳疾患で倒れ、労災申請が出されたことから発覚したとのことだ。

記事によると、サンドイッチを作っていた20〜50代の男女3人のパート従業員たちは、「自分の仕事が遅かった。悪いと思って残業時間を少なく申告した」と話しているという。それにしても、時給(900~950円)で働くパート従業員が、なぜこのような滅私奉公的な働き方をしていたのだろう。


時給から考えると、月11万円という額は異常だ。いくら仕事が遅くても、サービス残業の域を超えている。それに、仕事に習熟しない者は、いつまでも時給が上がらないだろうから、自分の時間をサービスしてまで尽くす必要はない。それができなかったのは、職場内に、仕事が遅い者への無言の圧力がかかっていたのだろうか。あったとしたら、どのような形であったのか、その状況を詳しく知りたい。もし、従業員同士に漂う空気感が、会社側に上手く利用されていたとしたら、それはそれで問題だ。

また、同工場での長時間労働は、数年前から常態化していた疑いが持たれているというが、月に最大で139時間の残業も異常だ。もし、脳疾患で倒れた事が長時間労働と関連があるとしたら、まったくやりきれなく救われない思いだ。何のために働いていたのか、分からなくなる。

働く理由は人それぞれだが、生活のためというのが大半だろう。まして、時給で仕事するパート従業員なら尚更だ。それが、自分の身体まで壊すような報われない働き方をしても、そのおかしさに気づかないところに問題がある。それは正社員でも同様だ。多分、パート従業員以上に、このような滅私奉公的働き方をしてしまう人は多いと思う。

仕事に意義を見出せないと、意欲が湧きにくい。だが、無理矢理こじつけたような動機付けをして、がむしゃらに働いても無意味だ。自分の生産性を上げることに意識を向けた働き方をしない限り、得るものはない。常に自分の頭で考え、工夫することで、人は大きく伸びる。それができれば、滅私奉公型から抜けだせる。働くことは、経済的にも精神的にも、自分を豊かにすることでありたい。誰もが、そのような意識を持てたらと願う。