照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

残業しない主義を貫く

残業について考える時、最初に勤務した会社のことを思い出す。全く同じ仕事内容にも関わらず、同僚と比べて私のボーナス査定は低かった。上司との面談の折、残業時間が少ないからと説明を受けて驚いた。

当時、その部署では、週一度くらい残業しなければならなかった。なるべく早く帰りたい私は、どのようにすれば早く仕事が終わるか考え、工夫してみた。その結果、人より残業時間が少なくなった。

残業時間を減らすという事は、残業代削減にもなって、会社側にとってもいいのではないかと思っていた。私からすれば、評価されてもいいぐらいの気持ちである。それが、上司からすればマイナスポイントであったとは、まったくがっかりした。

創業者である社長は、その当時では珍しく合理的な考えの持ち主であった。女性は本来の仕事で活用すべきであって、それ以外のことをさせるのは時間の無駄だと、午前と午後、社員が使用した湯呑みを洗う人を雇っていた。女性が働くのは腰掛け程度で、かつ職場の花であればいいと思われていた時代に、このような会社はかなり珍しかったと思う。

だが、創業者が斬新な考えの持ち主でも、管理職に浸透していないと感じ、会社自体への魅力が薄れた。遠い昔の事ながら、今なおこの一件は腑に落ちない。だが、まだまだ日本の企業では、このような考えがはびこっているように思う。

現在の会社でも、早く出社して、遅く帰る人が喜ばれる雰囲気がある。それでも私は、「私、シンデレラですから、終業のベルが鳴ったら直ぐ帰らないといけないんです」と言って帰る。「どこがシンデレラだ」と呆れられるが、不必要な居残りはしない。数日間休んで仕事が溜まっている時でも、朝早く出社して、かつ昼休みにも仕事をして、その日片付けなければならない事だけは何とか済ませる。そうして、絶対に残業はしないという自分の方針は貫く。

現在の会社の前身の組織では、就業時間内は暇そうにしていて、夕方頃から忙しさアピールをして残業する人もいた。それにも疑問を感じたが、管理職が残業を良しとしている会社では仕方ないのかと思っていた。そういう人たちに限って、忙しい時期でも、台風や大雪予測で早く帰れるとなると、帰宅に支障がないにも関わらず一目散に帰った。1、2時間の遅刻や早退をしても残業は別と、きっちり申請する風潮にもおかしさを感じたが、それをきちんと指導しない管理職にむしろ問題があると思った。

その頃から、働き方については、もっと工夫できるはずだと思い続けている。それには、先ず、会社側が変わらなければならない。上層部の意識改革がない限り、無駄な時間の使い方は、今後も続くだろう。結局、働くことへの考えが、あらゆる面で遅れている企業が主流では、日本人の働き方が変わることはないのかもしれないと心が重くなる。だからこそ私は、積極的に自分の残業しない主義を貫こうとする。