照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ローマ 美術館で人ウオッチング

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カピトリーニ美術館 タプラリウムよりフォロ・ロマーノを望む
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エジプト展示ルーム  お行儀の良い猿

カピトリーニ美術館に入ると直ぐに、カラヴァッジョの絵のところへ行った。この絵は、15ユーロの入場券にはそぐわないと、やや気落ちする。カラヴァッジョの絵とはいえ、無条件に好きというのではない。だが、見たことのない絵は、とりあえずは鑑賞しておきたかった。


展示場所は二カ所に分かれており、新館へは地下通路でつながっている。途中、タプラリウムに登る階段があって、フォロ・ロマーノが一望できる。ここはなかなか良いビューポイントだ。美術館へ入る人以外は来ないので、とても静かだ。

新館の展示物は、ほとんど彫刻である。係員がいないのをこれ幸いと、一番端の部屋で椅子に腰掛けて存分に休憩していた。わざわざ高い入場券を買ってまで悪事を働こうとする人もいないので、まことに寛げる。それ以前に、この部屋まで訪れる人も少ない。

休みついでに、ときたま部屋に入ってくる人々を観察していると、大半の人が、歴代皇帝などの胸像には興味がなさそうだ。私と一緒で、チケット買っちゃたからには、見なければもったいないと回っている雰囲気だ。入り口を覗いてパスする人もいる。もっともだ。大きな彫刻を見た後に、皇帝の胸像ばかりの部屋では、やや食傷気味だろう。

稀に熱心に見ている人もいて、隣の夫に説明したりしている。ITALY21と背中に番号の入った青のユニフォームを着たお父さんは、一応頷いて視線を走らせるものの、かなりおざなりだ。子供たちは、全く見ようともしない。

更に熱心なのは、ベビーカーを押した若い二人だ。入り口側の彫刻を、手で触って確認している。確かに襟元のドレープなど、ちょっと触ってみたくなる。妻の方はかなり熱心で、プレートを読みながら夫に説明している。妻同様、夫もまたじっくりと見て回っている。赤ちゃんは、ベビーカーの中でお休み中だ。このような鑑賞者に、この端の部屋に並んだ彫刻たちも、さぞ満足していることだろう。

人ウオッチングは面白い。たっぷり休んでから、ようやく立ち上がって美術館を後にする。