照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

子供の興味を大事に〜渋々カブトムシを飼い始めたらの巻

子供たちが好きだった本など思い出しているうちに、遥かな日々のエピソードの幾つかが浮かんできた。

先ずは虫編からどうぞ。
 
長男は子供の頃、なぜか虫好きであった。幼稚園の頃、カブトムシをつがいでもらってきて飼ったことがある。飼育に必要な物を人に聞き、準備して飼いはじめた。長男以外、我が家に虫好きはいない。結局、私が世話することになった。
 
当の長男だって、誰に聞いてきたのか、土は湿っているかだの、エサはもう少し美味しそうなのがいいだのと、私に指示するだけだ。おまけに、関心があるのは、成虫が生きている間だけ。
 
ある時、大きな芋虫のようなものが、プラスチックの容器越しに見えた。幼虫が、いつの間にか大きくなっていた。目が合って、あまりの気持ち悪さに捨てようかと、新聞紙を広げて中身をあけていた。
 
するとなんと丁度その時、間が良いのか悪いのか思いは複雑だが、長男が幼稚園から帰ってきてしまった。何してるのと聞かれた私は咄嗟に、たまには掃除してやろうと思ってねとごまかした。実際、容器の上にたまったフンの掃除はこまめにしていた。
 
やはり捨てなくて良かったと思ったが、それでも好きにはなれないまま、仕方なしに世話をして、時々眺めていた。やがてさなぎになり、カブトムシに変った。
 
長男が期待していたツノはなかった。だがどちらにせよ、ちゃんと成虫になったことに感動すら覚え、虫嫌いの私も、カブトムシが愛おしくなった。初めは、厄介な事をさせられてと思っていたにも関わらず、世話係を仰せつかって有難うの気持ちさえ湧いてくるから不思議だ。
 
ちなみに次男は大の虫嫌いで、腕にとまった蚊を、「ムシ、ムシ」と叫ぶだけで、追い払うことすらできなかった。大きくなって、蚊ぐらいは叩けるようになったが、いまだに虫全般が苦手だ。幼い頃は兄からしばしば、まねっこするなと言われるほど何でも兄の真似をしていた次男だが、虫好きにはならなかった。
 
「まねっこちゅるなあ〜」と、その言葉もそっくり真似する弟に長男は、「自分がまねっこしてるのに、まねっこちゅるなあ〜ばっかりいうんだよ」と、悔し気に訴えにきたのが懐かしい。幼稚園の頃の思い出だ。