照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

独りで生きると覚悟を決めれば、それもまた楽し

以前元気な高齢者でご紹介したTさんが、先日、お昼休みに事務所へ顔を出してくれた。

この暑い中大変でしたねと労えば、もう死にそうよとおっしゃる。だが、その言葉とはうらはらに、今年90歳になったとは思えないほどの活力が感じられる。

相変わらず、ママさんバレーならぬ、ババさんバレー(本人曰く)の指導は続けられているようだ。そのためか、背筋がピンと伸び姿勢もいい。とても若々しく、70代に見える。話し振りもちゃきちゃきしている。

90歳ともなれば、一人で電車やバスに乗るのが危ぶまれる年代だが、Tさんに限ってそんな心配は無用だ。このように年を重ねられたなら、長寿も悪くないなと思う。

それは、自分の人生を、しっかり考えてこられた方だからこそと、ただ感心してしまう。Tさんのようなシングルの高齢女性で、将来を見据え、マンションを購入している方は少ないと思う。但し、生活費は潤沢どころか、少ない年金で、何とか遣り繰りしているとお聞きしたことがある。にも関わらず、いらっしゃる度のお土産には、まことに恐縮してしまう。だが、その心遣いを、皆で有難く頂く。

Tさんには、長年我が身を養い、覚悟をもって生きてきた方の潔さ、清々しさがある。子や伴侶の有る無しに関わらず、誰もが身に付けたい精神だ。それには、若い時から、自立という意識を忘れずに生活するしかない。

年輪を重ね、すくっと天に向かって立つ樹木のようなTさん。話をしなが、彼女のように、人にもたれずに生きていきたいものと改めて思った。市井には、Tさんのような方が、まだまだいらっしゃるのだろう。いつか自分も、その一人になりたい。

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