照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

大豊作の大根に思う

11月は例年に比べ暖かく、雨も多かったため、野菜が育ち過ぎてしまい、それに伴い価格も大幅に下がったそうだ。大根生産者は、赤字で出荷するよりはと、廃棄したという。ラジオでそのことを知り、もったいなく思ったが、どうすることもできないと、残年な気がした。

立派な1本の大根も、味噌汁の具に大根おろし、豚大根におでんと、アッという間に消費してしまう。

ちなみに豚大根は、先ず油で豚コマを炒めて皿に取り置く。次ぎに、短冊切りにした大根を、しんなりするまで炒める。そこへ炒めた豚肉を戻し、オイスターソースで味付けして出来上がりと、しごく簡単だ。ちなみに私は、オイスターソースは、ユウキの化学調味料無添加を使用している。簡単、大雑把ながら、美味だ。水分が出はじめる前に、出来上がったらすぐ食べたほうがいい。

旬の時期は供給も豊富なので、価格も手頃だ。 1日に30品目の食品を摂る苦心もいいが、私はむしろ、旬の物ばかりを食べてもいいと思う。露地物の地産地消を目指すならば、必要的にそうなるだろう。

日本の物なら、遠方だろうと、食材の産地にあまりこだわりのない私だが、ふと身土不二という言葉が思い出される。だが、改めて主張しなくても、物流が発達していない頃は、それしかなかっただろう。

日本人が、豊富に食品を選べるようになったのは、まだほんの数十年だ。その時期に、地元でしか味わえなかった物が、今ではたいてい、日本全国どこでもで手に入る。

それでも地の物を探すなら、巨大な消費地である東京でも、少ないながら見つけられる。散歩途中の畑の即売所には、大根や茎ブロッコリー等の手書きの値札が付いている。各JAで調べれば、土曜日などに買える場所などもわかると思う。

夏、散歩途中に買った朝取りきゅうりのみずみずしさは、スーパーで求めた物では得られない食感だ。前日に収穫しても、1日くらいの違いなど、大した差ではないだろうと思っていたが、大間違いであった。

食材にバラエティを求めるのもいいが、旬の物を飽きるほど食べるのもまた良し。せっかく実った野菜たち、そのまま大地に返すのではなく、たッぷりと美味しく頂きたい。取れすぎた大根の話を聞き、葉のふりかけに思いを馳せながら、そのようなことを考えていた。