ポルトガル10日目ーリスボンへ
共通の言葉があってもなくても、道を尋ねれば、勘を働かせて教えてくれる。目があった時、微笑みかければ、ポルトガル語で挨拶が返ってくる。バスに乗る乗客は、老若男女皆、ドライバーさんに挨拶して乗ってくる。バスに乗る時の習慣なのかもしれないが、見ていて気持ちが良い。
丘陵地帯を走るバス
左右にコルク樫の林
私は、リスボン行きの時間が掛かるルートを選んだようで、丘陵地帯を登ったり下ったり、小さな町で乗客を乗せながらバスは進む。3時間45分のバスの旅だ。3時間のルートだと、7時45分発なので忙しないため、8時半にしたが、案外良かった。1時間半ほど過ぎて到着したバスターミナルでは、15分くらい休憩する。皆さん、トイレへ行ったリ、お菓子を買ったりしている。
バスがリスボンへ近づくにつれ、景色に面白みがなくなってゆく。やがて、テージョ川の向こうに広がる建物群に、リスボンは何と巨大だろうと感じる。ポルトから来た時には、さほど思わなかったが、小さな村や町を回りながらのバスに乗ってくると、まるで巨人が立ちはだかるようにさえ見える。と同時に、私の用心センサーのスイッチが入る。
メトロでヴィヴァ・ヴィアジェンカードに24時間乗り放題6ユーロ也をチャージしようとすると、またもや駅係員が機械を操作してくれる。ついでに、どこから来たかと聞くので、日本と答えると、唯一知っている日本語なのか、ラーメンと言う。続けて、今日は大晦日、明日はハッピーニューイヤー、楽しんでねと言う。その陽気さに、こちらの気持ちもグンと上向く。
ホテルに荷物を預けてすぐに、メトロでヴァイシャシアードまで行く。朝食が7時だったので、そろそろ何か食べておいたほうがいい。
サンタ・ジュスタのエレベーターは、先日以上に長い列が伸びている。思えば先日など、かなり少ない方だったのかもしれない。その前のカフェで、パエリアのメニューに気を惹かれた。座ってメニューを見ていると、イワシの塩焼きも良いなと迷うが、他の人に運ばれてきた量を見て圧倒され、パエリア(14ユーロ)に決める。
一人前でオーダーできるのが嬉しいパエリア
ポルトガルは、ごはん物が本当に美味しい。料理は、量を別にすれば、日本人に合うかもしれない。そういえば、丘陵地帯を抜け、リスボンへ近づいた辺りから、稲の茎のような部分だけが残っている、広大な田んぼが目についた。
生ビールと水と合わせて18ユーロは、先日の、フイゲィラ広場の前の店と比べて高い。やはり、観光地価格なのだろう。思えばエヴォラも、結構な観光地価格であった。
ケーブルカー ラウラ線
いつまでも発車しないケーブルカーを待つよりはと、急な階段を登ってモラエスの生家の方へ行く。ガイドブックもよく読まず、適当に行った私には、探せなかった。結局、その辺りの、広い通りや路地のような所を、降りたり登ったりしながら、ふと目についた小さな店で、翌朝用の買い物をして、ホテルへ帰る。
柿(右奥)とオレンジ
ボーロレイ クリスマスによく食べられるパン
買い物をした店
この店は、近所の人ばかりが買い物に来るようで、またずいぶん安く感じる。オレンジ3種類に柿と、パン2種類で3、07ユーロ(約400円)だ。翌日食べたパン(ボーロレイ)は、中にイチジクやクルミ他ドライフルーツ入りで美味しかった。一見甘いのかと思ったが、違った。もうひとつ買っておいても良いくらいであった。
ボーロレイという名前も、後で調べてわかったのだが、通常は、これよりもっと大きなものが主流のようで、街中でもよく見かけた。クリスマスによく食べられるということだ。
ちなみに、写真下の小ぶりのオレンジは、本当に美味しい。柿もまた、美味しく、リスボンに来るバスの中からも、木に成っている様子が、時々眺められた。柿は、16世紀に日本からポルトガルへ渡り、それ以降、ヨーロッパに広がったという。柿好きの私は、ポルタレグレのホテルで食べてから、ほぼ毎日食べていた。
それにしても、私の新年の食事は、まことに慎ましい。だが、これで充分満足だ。