照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

道路の横断にはご用心!ー自分を過信することなく

ごく最近、運転免許証更新での講習会で、高齢者が横断歩道以外の場所を渡って事故に遭うケースが多いと聞いたその数日後。まさに、そのような渡り方している高齢男性を目の当たりにして驚いた。

そこは横断歩道であったが、赤信号になってから渡り始め、急ぐでもなく悠々と歩いていた。大動脈のような幹線道路ほどではないが、都心から郊外へと延びたこの通りは結構交通量も多く、交通情報にもその名があがる。

その男性が渡るのを待っているのは、右折しようとしている車だ。車体には、ドライビングスクールの文字があって、数十年前、私が通った教習所でもある。後部座席にも二人ほど乗車しているので、あれっと思って車の上を見れば検定中とある。

自分の時はこの通りではなかったが、ハンドルを握っている若い女性に、かつての自分の姿が重なる。真剣そのものだ。普通ならとっくに曲がれるのに、信号無視の人のために、やや困惑しているのではないかと胸中を思う。焦りがさらなる緊張をもたらさず、無事検定区間を終えますようにと願う。

まったくとんだアクシデントだと、自分がハンドルを握った気になって、すれ違いざま、自分よりかなり歳上の人に目を走らせる。もっと若い時分は別として、今の私は、信号が黄色に変わったら横断を諦める。まして赤では、絶対渡らない。事故に遭う心配よりも、転んで怪我をするのが恐いからだ。

以前、それは目眩のためであったが、会社の廊下で転んで、目の辺りがかなり腫れ上がったことがある。それに懲りて、十分気をつけていたつもりが、駅近くで再び転んだ。その時は、さほど急ぐ用事があった訳でもないのに、青信号のうちに渡りたいと駆け出したためであった。

ほぼ平らな所で足が引っかかって、前回のことを思い出し、顔から着地は避けられたが、上唇の辺りがだいぶ腫れた。しばらくはマスクで隠していたが、旅行に行く2週間前のことで、それまでに落ち着くかとかなり気を揉んだ。

自分を過信することなく、歩く時に十分注意するようになったのはそれ以来だ。大腿筋の衰えを感じ、筋力アップに励むようにもなった。転んで膝でも痛めたら、散歩だってお預けだ。ともかく、健康な生活をするためには、ひとえに足腰の丈夫さが鍵だ。

そう思っていてさえも、うっかり転ぶことだってある。僅かな時間を惜しむ故だ。数分の節約のつもりが、自分はおろか他人へも、大変な思いを強いることにもなりかねない。身勝手な行動は、結局自分へ還ってくると、しみじみ考えさせられた日であった。