照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

カラヴァッジョ展へはお早めに

3/8日の火曜日、朝一番で上野国立西洋美術館の「カラヴァッジョ展」へ行ってきた。9時30分開館だが、5分前に着くと既に50人ほどが並んでおり、次から次へと人が来る。だが中に入れば混雑からは程遠く、気に入った絵の前では、存分に鑑賞することができた。

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「エマオの晩餐」チケットより

年代別ではなく、テーマ毎の展示は分かりやすく、絵に添えられた説明書もじっくりと読むことができた。正直、展示方法のレベルが格段に上がった気がする。今回は、一昨年発見された「マグダラのマリアの法悦」が、個人蔵ということで見に行ったのだが、行く前の、どうせ目玉を2、3点用意しただけの美術展なんてという思惑が、完全に吹っ飛ばされた。

本当に行って良かったと思える美術展であった。もし、行こうかどうか迷っている方がいらっしゃったなら、ぜひ早いうちに足を運ぶことをお勧めしたい。テレビで取り上げられてからでは、確実に混雑するだろう。そうなったら、思うようには鑑賞できない。

出口付近には、カラヴァッジョの絵が見られる世界中の美術館もしくは教会が、作品と共に記されているが、これはまさに鑑賞者目線に立っている。だいたい私など、これまでどこでどんな絵を見たのかさえ忘れているのだから、瞬時に記憶が蘇ると嬉しくなる。

カラヴァッジョの作品が見られるのは、やはりローマが一番多い。昨年の4月には、その絵を求めてローマへ行ったくらいだが、この資料を見ていると、もう一度行きたくなってくる。殊に教会は、自分で見に行くしかない。写真に撮らずとも、心に焼き付ければ良いと思ったものの、やはり自分の記憶の容量なんて、頼りないものと自覚させられる。

ダブリンへはるばる出かけた際は、何とローマへ貸し出されていて見ることが叶わなかったとか、次から次へと、それぞれの国の美術館が、旅の思い出と共に蘇ってくる。日本での美術展に、毎回肩透かしにあったような思いがして、各国の美術館巡りを旅のテーマに据えたのは、丁度10年前であった。そして、その中心の一つがカラヴァッジョであった。

絵を見ることが好きというだけの門外漢ではあるが、今、日本でこのような美術展に会えるとはと、感嘆しきりであった。今回展示されている多くは、私の好きなジャンルの作品ではないが、それを超えて尚、素晴らしい展覧会であった。

他にも、オラツィオ・ジェンテレスキはじめ、良い作品が多数あった。日本では見る機会の少ない、娘のアルテミジア・ジェンテレスキの作品もある。重ねて言うが、混み合う前、ぜひ今のうちに鑑賞することをお勧めしたい。

*ご注意
常設展は、3/18まで見られないので、カラヴァッジョ展会期中まで有効の常設展無料券が貰える。常設展も一緒に見たいと考えている方は、それ以後が良いかもしれない。

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常設展無料券

*台湾旅行記は明日からも続きます。