照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

スミレがあちこちで咲くためには秘密の仕掛けがあった

スミレは、種を蟻に運んでもらうそうだ。地面に弾け飛んだ1ミリほどの種には蟻が好む物質があって、蟻はそれが目当てらしい。先日の朝ラジオで聞いて、だからあちこち、思いがけない所にもスミレの花が咲いているんだと納得した。それは、スミレばかりではなくカタクリなどにもあるという。

調べてみるとその物質は、エライオソームという脂肪酸、アミノ酸、糖からなる蜜のような液の固まりで、種の周りについている。こうして蟻が運んだ種が、いろいろな場所で芽を出すという。

それを知るまで、道端のあちこちで目にするスミレに、繁殖力が強い植物だとばかり思っていたが、そんな単純ではなかったのだ。サヤに並んだ種が、サヤの圧力で弾かれるまでは自力だが、更に、それを蟻に運んでもらうための仕掛けがあったとは驚きだ。

植物がこのような仕組みを整えるまでには、どれ位の時間がかかったのだろうか。それは植物に限らず、進化しなければ生き延びることが難しかったあらゆる生物に当てはまることだが、多分、気の遠くなるようなその過程に興味が湧く。だけど、そんな研究している人っているのだろうか。現在の姿から、共生関係の類は解き明かされるだろうが、それ以前、個々の進化過程の研究となると無理かな。

例えば、

「スミレは、このようにして現在の姿になりました。(そこへ歴代のスミレ図挿入)エライオソームの味付けにはだいぶ苦心したようで、さまざまに試行錯誤した形跡が窺えます。(蟻がそっぽ向く初期からご馳走だと飛びつくまでの図挿入)他の植物に負けてはならじと、脂肪酸、アミノ酸、糖の配分にはとりわけ難儀したようですが、その甲斐あって今では、蟻界での「美味しい蜜賞」を受賞するまでになっております。(スミレの嬉しそうな図挿入)」

こんな研究報告がニュースに流れたら、さぞ楽しいだろうな。

もちろん言うまでもなくこれは私の妄想だが、早とちりする方がいては大変なので、念のため付け加えておく。早とちりのうえ、何寝ぼけたこと言ってるのと、怒ってど突かれでもしては一大事なので、これにて終了。