照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

泣いたっていいじゃないかー「沙保里の涙に辛口コメント」に思う

ヤフーニュースに、"「中尾ミエ、沙保里の涙に辛口コメント」"とあったので読んでみた。19日放送のTOKYO MXテレビ「5時に夢中!」という番組に出演した時の発言のようだ。

"吉田の涙について聞かれた中尾は「やることはすべてやったんだし。本当に悔しいと思うなら、まだやればいいし、もう無理と思ったら潔くやめればいいんだし」とさばさばした口調でコメント。国民栄誉賞にも輝いた霊長類最強女子の号泣に「もう涙は似合わないし、見せて欲しくない」ときっぱり続けた"(スポーツ報知・8/19付)とあって、共演者も、"「しらけちゃって、一粒も涙が出なかった。」"とのことだ。

いつも聞く朝のラジオ番組が、19日はたまたまオリンピック放送であった。早く通常の番組に戻してもらいたいと思うくらい、オリンピックには全く興味のない私だが、その朝はAFNにも変えず珍しくそのままにしていた。そして、偶然吉田沙保里のインタビューを耳にして、涙が出そうになった。それなのに、このような事を言う人がいることに心底びっくりだ。

(止めたくても、止めたくても、止めようのないほど溢れ出る涙なのだよ)と、シラっと眺めている人たちに言いたい。(そんなこと言っている人以上に本人が、一番涙を見せたくないに決まっているじゃないか。でも、これまでのさまざまな思いが溢れ出たんだよ)と思う。

試合終了直後に、気持ちなんてそんな簡単に切り替えられない、人間なんだもの。自分の心と折り合いがつくまで、涙くらい流させてあげたい。と、私もやや熱くなってしまうが、共感できない時は、言葉を濁すか、むしろ黙っていればよかったのにと残念だ。

吉田沙保里が表彰台に向かう前に、アナウンサーと解説者の方が、「銀でも十分立派で、他の人なら良くやったと言われるところを、吉田の場合は負けたと言われてしまうのですからね」というような事を話していた。

それを聞きながら、オリンピックが終わったら待ち構えていたように、週刊誌などでさぞいろいろな事書き立てられるのではないかと懸念する。

ところで、今回金メダルを勝ち取ったマルーリスは、ずっと吉田沙保里に憧れ目標としてきたそうだ。何だかドラマのようではないか。世界中のマルーリスたちが、吉田沙保里の背中を仰ぎ見て、いつか自分がと狙っていた16年間。その重さが、止まらない涙になったのだ。泣いたっていいじゃないか。