照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ちょこっと旅にー原田直次郎展をメインに萩・津和野へ

"私は旅が好きではないらしい。・・・やっとの思いで目的の土地に到着しても得るところは、せいぜい景色くらいのものである。
・・・私はこれほどの苦労をして得た代償だと思うから一生懸命眼を見張って、何か意味はないであろうか、我々の人生に益する参考になるような教訓はないか、と探しまわるが"(「東北弁の旅情 山形」『晴れた空 曇った顔』安岡章太郎著・幻戯書房・2003年・P・8~9)
結局、何も見つけられなかったとおっしゃる。
あちこち矯めつ眇めつ、何とか意味づけしようと苦闘する様子が浮かんできて可笑しい。

とはいえ、自発的ではないとおっしゃるもののよく旅されている。この方のお書きになる、ユーモラスな中にもどこかほろ苦さが漂う旅話は好きだ。

ところで一般的には旅先で、「いやあ素晴らしい。さすがだ」とか、「やっぱり来た甲斐があった。感動ものだなあ」と言いたくなるだろう。だいたい、日常から離れた時点でテンションが上がっているので、ちょっとしたことにも感激しやすくなっている。

私も今日、ちょこっと旅に出る。
メインは、島根県立石見美術館で9/5まで開催されている原田直次郎展だ。以前、葉山(神奈川県)へ観に行くつもりだったのだが、その後は岡山、島根へ巡回すると知り、どうせなら萩、津和野も訪ねてみようと思い立った。

萩市観光協会のホームページに、"明治維新胎動の地、萩"ともあるように、傑出した人物を輩出した地として知られているが、
"人生に益する参考になるような教訓はないか"と、
"一生懸命眼を見張っ"たりせずに、
のんびり気楽に歩いてくるつもりだ。

『世に棲む日日』(司馬遼太郎著)の雰囲気を、多少なりとも感じられればいいかなくらいの、ゆるりとした旅だ。