照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

自分の目的に向かって真っしぐらー先ずはその徹底した資金作りに脱帽!

NHK地球ラジオという番組に、「旅人は見た」というコーナーがあって、世界各地を旅されている方々が、現地から旅の様子を話してくれる。どの方の旅もユニークで、毎回の放送が楽しみである。今回はそのうちの一人、自転車で世界各地を旅されていた小口良平さんが、先月下旬に帰国されたということで、スタジオ(10/2)にいらしていた。

2009年に旅を始めてから、3台の自転車で走行距離16万キロという。その間いろいろとアクシデントもあって、タクシーにぶつけられ転んだ弾みに歯が欠けたり、凍傷になりそうな寒さの中でタイヤのパンク修理をしたりと、なかなか凄まじい。

ところで私が一番驚かされたのが、その資金の貯め方だ。大学卒業後入社した会社で3年働き、その後はアルバイトで、貯めた額がなんと一千万だそうだ。

朝、ご飯を炊いておにぎりを作り、それを朝と昼に食べ、夕食は抜きという。お弁当が毎日おにぎりなので、会社ではおにぎり君と呼ばれていたそうだ。付き合いなども一切せずに、ひたすら資金作りに邁進という徹底ぶりだ。

そのうちの500万を、奨学金返済に充てたというから更にビックリだ。大半の人は、ギリギリの生活をしながら貯めたお金だと思えばこそ、奨学金の一括返済よりは、旅を優先させたくなるのではないだろうか。この潔さに、感心してしまった。

それにしても、資金作りからしてこのような意志の強さがあるからこそ、何年にも渡って、時には過酷な自転車旅を続けてこられたのだなと、ただただ感じ入るのみ。まったく大したものだ。そして小口さんが旅から得たものは、まさにおにぎりの日々をはるかに上回って返ってきたのではないかと察せられる。

目的を掲げても、頑張れきれずに投げ出す人も多い中で、数年に渡る資金作りから着々と進め、目標である世界自転車旅も達成してしまう小口さんのような方の存在は、とても励みになる。前回(『永遠のディーバ 』)の話に即して言うと、このやり遂げようという気持ちこそが才能だ。ともかく脱帽!