照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

沖縄で慌て者を意味するアガチと呼ばれる鳥って?

この間の日曜日、NHK朝のラジオ番組「いきものいろいろ」のコーナーで、バードカービング作家の鈴木勉さんが、ヤンバルクイナについて話されていた。

この鳥は、天敵がいなかったため飛ぶ必要がなく、結局、飛べない鳥になったという。だが、眠るのは木の上だそうだ。といっても、大きな木ではなく、手が届くくらいの高さだという。飛べないのにどうやって木の上まで行けるかというと、足と嘴を使って登るそうだ。

嘴が、人でいえば手の役目をはたしているのだろうかと、この鳥の登る様を想像しながら、画像検索をしてみた。すると、目と嘴と足が赤というずいぶん人目をひく姿をしているではないか。こんな鳥、私も間近で見てみたいと、急に興味が湧いてくる。

"1981年に発見された後で、本種が以前から、地元の人々にアガチ、アガチャ(「慌て者」の意)、ヤマドゥイ(「山の鳥」の意)等の名で知られていたということが分かった"(Wikipediaより)ということだが、
"慌て者"と呼ばれる鳥とは、何ともユーモラスだ。飛べないが、走るのは相当早いそうだ。その様子が、大慌てでバタバタしているようにでも見えたのだろうか。

これまで名前しか知らなかったヤンバルクイナに、更に親しみを覚える。もしも、正式な名前が"慌て者"だったら、かなりユニークだ。しかし、慌て者の性質が災いして交通事故に遭うとしたら、物凄く可哀想だ。天敵がいないと安心していたら、もともと島にいなかったマングースが持ち込まれ、車まで現れるなんて、まさか想像もしていなかっただろう。

ちなみに平成28年は、交通事故が37件報告されている。また、環境省によると、マングースの防除事業の推進により減少傾向にあった生息数が、今では1500羽くらいと推測されているようだ。しかし、この稀少種が、車にぶつかって死亡するというのはかなり残念だ。

自然淘汰は致し方ないものの、自然界の最大の敵が人間というのは、きれいごとを言うわけではないが、やはりどこか切ない。絶滅危惧種に限った問題としてではなく、自分の暮らし方が、回り回って生態系にどのような影響を与えているか、時には考えてみる必要もありそうだ。