照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

雨の日にぴったりの映画ー『マイ ビューティフル ガーデン』

昨日は雨。こんな日は映画日和と、シネスイッチ銀座で『マイ ビューティフル ガーデン』を観てきた。雨の日は電車が混雑するので、ターミナル駅まではバスで出かけた。

バスから外を眺めていると、イチョウが芽吹きはじめている。〈ワシは浮かれたような春の賑わいには加わらんのだよ〉とばかりに、空に向かってスクッと立つその武骨な姿を目にするたび、葉が出るのはもう少し先かなと思っていたのだが、予想よりずっと早かった。

ヨーロッパには、「四月の雨は五月の花を咲かせる」という諺があるそうだが、雨は植物たちにとっては恵みだ。たまたま映画の中でも、主人公ベラの隣に住む花をこよなく愛する隣人が、植物にとって雨がいかに大事かを説いていた。

実はベラは、植物が大の苦手で、庭付きアパートに住んでいながらまったく手入れをしていない。そのため、ある日、退去命令が出てしまう。猶予期間は1ヶ月だ。仕方なしに、荒れ放題の庭を何とかしようと取り組み始める。

気難し屋の老人である隣家の男性とは、元々没交渉であったが、ちょっとしたことがきっかけで言葉を交わすようになる。といっても、最初はハートフルどころか、むしろその逆だ。だがやがて、庭づくりのアドヴァイスもしてくれるまでになる。

そこにベラの恋話も絡んだりして・・・と、フワフワっとした甘いお菓子のようなストーリーは、肌寒い雨の日にはまさにピッタリであった。おとぎ話もたまには良いなと、雲の上を歩いている気分のまま映画館を後にした。