照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

アアッ!電車行っちゃったよ〜何でも自分で確認するのが鉄則と改めて心に刻む

モンセラット発1時15分の登山鉄道に乗り、20分程でカタルーニャ鉄道への乗換え駅に着くと、掲示板で時間と乗り場を確認したつもりが、逆方向のホームに行ってしまったのだ。

 

電車を待つ僅かの間ベンチに座っていたが、反対側のホームに乗客が沢山居る。ムムッ?と思った私がベンチから立ち上がろうとすると、席を譲られてちょうど隣に腰を下ろしたばかりの老夫婦が、私も席を譲るために立ち上がったものと勘違いして、スペースは十分にあるから立たなくていいと押し留める。

 

私が線路の向こう側を指差し、あっちがバルセロナ行きではないかと聞けば、あれは逆のマンレザ行きだと言う。念のため電子掲示板をチェックしてくると再び立ち上がりかけると、今度は、ベンチでずっと新聞を読んでいた別の女性まで、バルセロナ行はこちらでいいと引き留める。皆さん、あまりにも必死におっしゃるので、何だか確認しに行くのも躊躇われて、結局そのまま座っていた。

 

すると、近くに立っていたカップルから、「アレッ、ホーム違うんじゃない」という日本語が聞こえた。と思うとすぐさま二人は、地下通路に向かって走って行った。あの方たち、日本人だったんだと思いながら、私も後に続くかどうか迷っているうちに、バルセロナ方面から電車が入って来た。まずいと思って、下車した沢山の乗客の間を縫って走る。すると、反対ホームにも電車がちょうど入ってくるではないか。

 

よりにもよって、ホームの先に居たのが悔やまれる。地下通路を駆け上がってホームに着いた途端、無情にも電車が動き出してしまった。私に続いて、先ほどバルセロナ行はこちらでいいと太鼓判を押した女性も走って来たが、やはり見送る羽目になってしまった。取り残されたのは、あの老夫婦を含めベンチ辺りにいた数人だけだ。

 

仕方がないので、我慢したままであったトイレに行く。ホームへ戻ると、駅係員に皆でワイワイガヤガヤ抗議していた。くだんの女性が説明してくれたところによると、この時間は、上りと下りのホームが交互になるそうだ。おまけに発車時刻も同じ。

 

ミサのためにしばしば訪れているらしき老夫婦をはじめ、皆さん勘違いされたのも無理はない。いつもは別の時刻に、決まってこちらのホームから乗車していたのだろう。ちなみに、次からのバルセロナ行きは、全て私たちがいた側のホームから乗車となる。

 

 1時間待つくらいならモンセラットで食事でもしてくれば良かったとチラッと後悔が掠めるが、これもいい経験。いくら親切な方たちといえども、言うことは鵜呑みにせず、気を悪くするかななどと変な気兼ねもせず、自分で確認して納得してから行動することが大事と教訓にした。

 

それにしても、目の前で電車が出発してしまった悲しさ。旅先ではどんなことがあるか解らないので、いつも次の手段があるかを考えて行動しているが、実際こんなことは初めてであった。と言っても、モンセラットからの電車は、もう少し後の時間まであるので、1時間くらい待って乗れれば上等だ。(乗り遅れたらどうしよう)の、ちょうどいい練習になったと考えることにした。

 

バルセロナも見て回れていないのに、行こうかどうか?考えたモンセラットであったが、やはり訪ねて良かった。この老夫婦とはバルセロナまで席をご一緒したが、思えばこの日は、人にご縁がある日であった。黒いマリア様が引き合わせてくださったのかな。旅先でのこのような出会いは、その地での印象をことさら良くする。

 

悪党はどこかと緊張して目を光らせていたバルセロナだけれど、到着した日からこれまでのところ、感じの良い人々にばかりに出会っている。素晴らしいじゃないかスペイン!と、更に好感度が増す。もちろん、バッグはたすき掛けしたうえにしっかり抱え、一瞬たりとも離さずにと、用心は怠りないが。