照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

世界で一番スリが多いというバルセロナにドキドキだった私だが美しい街に感激

世界で一番スリが多い都市一位にランク付けされているバルセロナには、どんな悪党がいるのだろうと、臆病者の私はビクビクしながら思いつく限りの用心をして出かけた。

 

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カタルーニャ広場

 

5月4日の午前中、ホテルに荷物を預けると、さっそくプラタナスの並木が程よい木陰を作っているランブラス通りを歩いてみた。広い歩道は、ほとんど観光客で埋めつくされている。だが皆さん、あまり警戒心もなく歩いている。私も、悪党はどれかと警戒しながら歩くのだが、やや拍子抜けするほどのんびりムードが漂っている。

 

バルセロナに関しての知識は、サグラダ・ファミリアがあるということ以外皆無である私には、メインストリートがこのように歩道が広く歩きやすいというのは、ちょっと意外であった。東京でいえば、原宿から表参道までの欅並木の中央に、広い歩道がある感じだ。

 

ちなみに、私が宿泊しているホテル(NHコレクション バルセロナ グランホテル カルデロン)の前の通りはランブラ・ダ・カタルーニャといって、カタルーニャ広場から伸びていて、ブランドショップが並ぶグラシア通りに平行しているのだが、こちらもランブラス通り同様、道路の中央が広い歩道になっており、プラタナスの並木の間には、カフェのテラス席もベンチもたくさんあって、散策にはぴったりだ。

 

このように、人が歩きやすい街っていいなと思う。観光客が、これほど集まってくるというのもよく分かる気がする。でも、大都市には、やはり光と影がある。大通りからグエル邸の方に曲がり、尚もそのまま先へと歩いて行くと、やはり、危ないと注意を促す地域には、それらしい雰囲気が漂う。そこを抜けて広い通りまで出てから、再び海側に向かうと、コロンブスの塔が見えてきた。途端に、観光客の波だ。

 

ランブラス通りへと戻り、カテドラルの方へと入って行く。人気が少ない路地では、用心スイッチが入る。例え昼間でも油断できない。なるべく、人波のある辺りを目指して歩を進める。建物と建物の間の狭い道路の感じは、何となくフィレンツェを思い出させる。

 

すると、小型犬を2匹、綱も付けずに走り回らせている人がいて、私の足元にもキャンキャンと甲高い鳴き声をあげながら突進してきたので避ける。飼い主らしき男性は、犬に注意を与えるでもなく、誰かれ構わず噛みつかんばかりに吠えて、狭い路地を走り回っているのを放置している。

 

ほとんど同じ辺りを行き来していて、散歩させている感じではない。もしかして、通行人が犬に気を取られているうちに、悪事でも企んでいるのではと疑ってしまい、たすき掛けしたうえに、更に持ち手を肩にかけたバッグをギュッと掴む。それより、もっと人がいる方へと急ぐと、サン・ジャウマ広場に出た。

 

途端にどこもかしこも観光客だらけで、役所の建物などを写真に収めている。私は、そのままカテドラルへと向かい、中に入ってしばし落ち着く。でも、12時45分で閉まるため、その時間が近づくと警備員が皆を外に出るようにと促し始めた。

 

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カテドラル

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カテドラル内

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受胎告知 〈こりゃまた驚いた!〉という感じの両手

 

カテドラルの前で、この日の朝、フランクフルトからバルセロナまでの飛行機で隣り合わせた中国からのツアーの方たちと偶然出会う。機内で言葉を交わしたのはほんの僅かだったけれど、見知らぬ街で知り合いに会った気分でちょっと嬉しい。相変わらず気は抜けないけれど、スリやひったくに用心してガチガチに緊張していた心が何となくホッとする。

 

飛行機から碁盤の目になった市内を見下ろし、地図のままだと弾んだ気持ちが蘇る。右奥の方からピレーネ山脈、左の方には赤茶色の岩山(後になってモンセラットと気づく)、手前には地中海に面して港があり、その左に広がるのがモンジュイックの丘。地図で覚えただけなのに、まるで見知った街のようで懐かしみさえ覚えた。でも用心!と、かなり気を張っていたのだ。楽しいぜバルセロナ!と、すっかりご機嫌になったまま、人の流れについてバルにも入ってみる。