照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

旅先では自分の関心あることだけに絞る〜行って良かったプラド美術館

オステルにチェックインした後、すぐさまプラド美術館に行った。もし、チケット購入に時間がかかるようだったら、いっそ午後6時からの無料で入館でき列に並んでも良いかと考えたが、何のことはない。3時前に着き、15分ほど並んだだけで済んだ。

 

マドリッドに移動したのが金曜日(5/12)だったので、翌日の土曜・日曜に比べて混雑しないだろうと考えたのだが、世界に名だたるプラド美術館、さすがに館内は人で溢れていた。

 

出発前は、行けたら行くかくらいの絵画に対する情熱の無さで、かつて、各国の美術館巡りを旅のメインにしたことを思えばこの変わりようは何だと自分にツッコミを入れたくなるほどだ。従って、事前にオンラインでチケットを取ることもしなかった。前述のように、並べば無料で入れるという思惑もあって、宿泊はアトーチャ駅周辺にしたのであった。また、夜9時を過ぎても明るいので、見終えてから歩いて帰れると、あえてこの季節を選んだ。

 

ところで、ここはやはり行って良かった。その作品数に圧倒される。ところで、最初からいちいち感心しつつじっくりと眺めていたのでは、途中で力尽きてしまう。まず、各階を一通り歩いてみて、気になる絵の所へ再度戻るというのが私の回り方だ。

 

館内に用意された日本語パンフレットを頼りに、見たい絵だけピンポイントで歩を進めるのもいいけれど、それでは知っているもしくは有名な絵の確認だけで終わってしまいかねないので、ちょっともったいない。

 

日本ではさほど紹介されていない画家でも、良いなと思える絵に出会えたりもする。また、それまでは全然好みではなかった画家の絵の前で、こんなのもあったのかと見入ることもある。パンフレットやガイドブックだけを参考にしていると、アブナイアブナイ見逃すところだったと思うことはしばしばで、他者と自分の関心や好みは違うのだから、自分の目で見ることがいかに大事か、改めて思い知らされる。

 

ところで、どうせ絵なんて解らないし、ベラスケスやゴヤだけで良いと割り切って見るのも有りだが、むしろ絵に興味がなければ、ここでお金と時間を無駄にすることはないので、訪れないという選択もある。

 

そんなことを言う私も、当初、ピカソの『ゲルニカ』を見ないつもりでいたのに、プラド美術館の帰りにソフィア王妃芸術センターに寄ったら、並ぶこともなく入れたのでどうせならと見てきた。丁度、世界中から作品を集めての大ピカソ展が開催中であった。

 

でも、ここは本当にアッサリと流して回った。かつて、ベルリンの美術館でピカソに対する見方が変わったということはあったが、それでも私は、ピカソがまったく好みではない。ピカソファンの皆さんからは眉をひそめられるかもしれないが、実際『ゲルニカ』の前に立っても、ちっとも魂が打ち震える感じがしなかった。「見た」という確認のためなら、わざわざ来ることもなかったと思うほであった。

 

だから、絵に限らず、有名な場所だからとか、せっかく行ったのだからというだけの理由で、限られた旅の時間を無駄にしない方がいい。でも、行きたいなと思えば、名所旧跡巡りも良いと思う。旅先では、本当に自分が好きなこと、やりたかったことだけに絞ればいいのだ。

 

というわけで、絵に多少なりとも興味があればプラド美術館はおすすめだが、そうでなければ無理していくこともない。