照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

カラスは賢いー散歩の途中で

土曜の朝、散歩していると、丁度、差し掛かった地域は可燃ゴミの収集日なのか、道路沿いのあちこちに、緑のネットを被ったビニール袋の小山ができている。

そんな山のひとつ、中段辺りに、カラスがいるのが目に入った。ネットの下のビニール袋を、一心に突ついているが、まったく効果はない。ネットもまた、被せただけではなく、端をビニール袋の下にしっかり押し込んである。

ただ突ついていても埒があかないと悟ったのか、今度はネットを引っ張り始めた。なかなか上手くいかないが、結構粘り強く、何度も何度も繰り返し引っ張る。それでもビクともしないネットに、見ている私も、ダメだろうなと、立ち去ろうとした。

すると、少しネットが動いた。カラスは、更に嘴で引っ張り続け、もう少し動かした。手応えを感じたのか、カラスは次に、ゴミ山の天辺にチョンチョンと移動して、更に引っ張る。

すると、何とネットの下からビニール袋が出てきた。でも、そこには餌となる物が入っていないのか、尚もネットを動かし続けている。反対側の少し離れた場所から見ていた私は、その後が気になりながらも、そこを離れ、散歩を続けた。

カラスを追い払った方が良かったか、多少悩んだが、自分が突かれるのも怖かった。カラスは、自分を攻撃する者をきちんと認識して、狙ってくるという。友人の子どもが保育園時代、何をしたのかは忘れたが、一人だけカラスに狙われて突かれたという話を思い出し、用心することにした。

私は、カラスにはあまり好印象を持っていないのだが、あのカラスの賢さ、粘り強さには感心した。もっともカラスだって、生きるためには必死なのだろう。餌にありつけなかったら、自分の命に関わる。

カラスの食用計画もあるようだ。更に、命の危機が迫ることになる。カラスに加担もできないし、かといって、カラスを食べる気も起きない。

『からすのパンやさん』(かこさとし)のように、ファンタジーの世界でしか、カラスは愛されないのか。人と動植物すべてが共存するなんて、到底夢物語なのだろうかと、頭がお花畑気味の私は、いろいろなことを頭に浮かべながら歩いていた。