照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

フィレンツェ三日目

パラティーナ美術館へは朝一番に訪れた。ピッティ宮の2階にあるこの美術館はとにかく広い。予期していなかったが、ここにはアルテミジア・ジェンティレスキの作品があった。それにカラバァッジョの作品もある。私にはこれだけでも充分すぎる程であったが、数多い名だたる画家の作品すべてを隈なく見ようと意気込んでいた。高い所に飾られたものまで見上げながら歩いていると、首が痛くなる。圧巻はラファエロ・コレクションで、その素晴らしさに、たちまちファンになってしまった。

 

次に向かったのは、バルジェッロ国立博物館だ。ドナッテロの『ダビデ像」』が有名だが、私はむしろ少女をモデルにしたような小品に魅了された。彫刻を良いと感じたのは初めての事だ。広い部屋で、行きつもどりつしながら長い事見ていた。やがて、早く閉館したい係員に促されて出口に向かう。私が最後だったのか、外へ出た途端に門が閉まる。閉館時間までまだ間があるのにと名残り惜しかったが、ここはイタリアだからと自分を納得させる。

 

前日、昼食の後に通りを歩いていると、レストランの呼び込みをしている日本人女性からショップカードを渡された。そこへ行ってみようと探したが、どうしても見つからなかった。だいたい、そのレストランがある通り名を忘れていた。カードの裏に記載された地図を辿っても分らない。次第に歩いた記憶の無い場所にまで入り込んでいた。

 

諦めて目の前のカフェに入ることにした。気の良さそうなおじさんがひとりでやっている。ビールとパニーニを頼む。喉を潤しながら通りを行く人々を眺めているのは楽しい。昨日に続き、フィレンツェに圧倒されていた。一枚でも展覧会の目玉になるような作品がこれほどたくさん・・・と、それぞれの美術館が、数多くの名品を所蔵していることに驚いていた。ルネッサンスを主導した、フィレンツェ派の画家たちがいた時代を想像してみる。そしてその後ろ盾となったメディチ家へと連想は続く。心はすっかりフィレンツェにとらわれていた