照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

名残惜しいままにフィレンツェからパリへ

サンタ・マリア・デル・カルミネ教会のブランカッチ礼拝堂へ、マザッチョのフレスコ画を見ようと出かけたら休みであった。火曜日が休みとは迂闊であった。昨日時間があったのにと、悔やまれるが仕方がない。

 

旅先で買い物するのは稀だ。サンタ・マリア・ノッヴェラ薬局の店内には、奥に併設されている博物館同様、歴史の重みが濃厚に漂っていた。陳列棚には、探している商品が見当たらない。カウンター内の、教師を思わせる硬い感じの店員さんに尋ねると、奥から出してきてくれた。

 

レモンのハンドクリームは、日本で購入する半額ほどだ。つい2個求める。柘榴の石鹸は、思いつかなかった。この石鹸はいい香りで泡立ちが良く、細かい泡で身体を包むと幸福感な気持ちになる。日々のつましい暮らしの中で、唯一の贅沢だ。こちらこそ必要だったのに、店内から流れる空気に威圧されていたのだろう。ほの暗い店内から外に出ると、柔らかい陽光に包まれた。

 

絵を見て街を歩いて、フィレンツェの虜になっていた。4泊すれば充分かと思っていたが、全く足らなかった。何をするでもなく、ただ歩いていたかった。歩きながら目に付いた店に入って、食事したり休憩したりするだけで良かった。でも午後にはパリ行きの便に乗る。名残り惜しくアルノ川沿いを歩いてからホテルへ戻る。荷物を持つと空港行きのバス乗り場へ向かった。