照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

名古屋での読書会2月 その1

今日は、名古屋での読書会に参加させて頂く。前回お邪魔して、有意義な時間を過ごしたことは、私にとってとても貴重な経験であった。それまではそのような場に参加することなどなかったので、同じ本をそれぞれがどのように読んだのか、とても興味深かった。読書会が、どこかで行われていることすら知らなかった。

自分が話し、人の意見を聞くことで、更に考えが深まってゆく。自分が思いつかない角度からの視点に、ハッとしたりもする。一人で読むのもいいが、時には人と一緒に読むのもいいなと感じた。だが、名古屋までは距離がある。一回限りの参加かなという思いも、多少はあった。

今回の課題図書は、『イスラーム文化ーその根底にあるもの』(井筒俊彦岩波文庫)というお知らせに、即座に参加を決めた。すぐさま本屋に走り、読書会に間に合うように読み始めた。

読み始めると、これまで漠然と考えていたイスラム教へのイメージが一変した。というより、全く知らなかったことが解る。「右手にコーラン、左手に剣」とか、「目には目を」とか、キャッチフレーズのように印象的な言葉を覚えているのみで、全くステレオタイプの域をでなかった。

実際には、「コーランか貢納か剣か」ということだ。だが、改宗されると税収が減るため、何とか思い止まらせるような配慮もしたようだ。このような興味深い記述もあって、どんどん読み進められる。

イスラムを創始したムハンマドは砂漠の民ではなく、町に住む商人だったというのも意外であった。一夫多妻ということなども、その趣旨がだいぶ誤解されているようだ。夫を亡くした妻が、子と共に路頭に迷わないための救済的意味合いがあるという。そして夫は、老いた妻も、若い妻も、全てを同等に扱わなければならない。誰もが一度はこの本を読んでみると、新たな目が開かれると思う。

       戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
       相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信を起こした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。  (ユネスコ憲章前文より)
   (『イスラム戦争  中東崩壊と欧米の敗北』内藤正典集英社新書・P・244)

ユネスコ憲章前文にもあるように、相互の風習と生活を知らないことが、人々の間にさまざまな諍いをもたらしてきた面がある。ISが日本にも関わりを持ってきた今こそ、これまで知ろうとしなかったことを、知るいい機会だと思う。ISがなぜ台頭してきたのか、その背景を知る事は大事だ。ISに対する憤りから、イスラム文化全体へ偏見を持たないための第一歩として、私は先ず『イスラーム文化ーその根底にあるもの』から読んだ。今日は、参加される皆さんからどのようなお話を伺えるか楽しみだ。