照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

地雷探知に大活躍 アフリカオニネズミ

カンボジアシェムリアップで地雷探知に、訓練されたアフリカオニネズミが大活躍という先日のニュースに、凄いなと感心してしまった。嗅覚に優れたこのネズミは、地雷に含まれた僅かな火薬の臭いを嗅ぎ分けることができるそうだ。そのうえ、身体が軽いので、上を歩いても地雷が爆発する危険性はないという。

タンザニアの非政府組織アポポが、猫ほどのこのネズミに目をつけて、訓練をしているという。ネズミが8分でできる50個のサンプルチェックも、人間だと1日かかるそうだ。また、1匹のネズミが1時間でカバーできる面積も、人間なら50時間という。

アフリカには、未だ数百万発の地雷が埋まっていると推定されており、事故が後を絶たないという。人々は命の危険に怯えながら暮らしているそうだが、ぜひこのネズミに大活躍してほしいと願う。

しかし、このネズミの嗅覚に着目した人には、全く感心する。地雷の他にも、結核菌発見のための訓練もしているそうだ。この二つを撲滅しなければ、アフリカの発展はないということから、始められた計画という。

ジャレド・ダイアモンド著『銃・病原菌・鉄』(草思社文庫)に出てくる、野生のさまざまな動物を家畜化しようとした試みが思い出される。上手くいった種だけが、家畜として今日まで残ったのだが、どれでも飼いならせたわけではなかったという。殊にシマウマなど、年を取るにつれ気性が荒くなり、とても家畜には向かず断念したらしい。

シェムリアップから車で1時間ほどの所にあるバンティアイ・スレイを訪れた時、裏の方から、音が流れてきた。東洋のモナリザと呼ばれたレリーフの回りを歩いていた時だ。近寄ってみると、民族楽器の演奏をしながら、地雷で怪我した人たちへの寄付を募っていた。ポル・ポト政権が崩壊してだいぶ経つというのに、今尚、カンボジアの人々を苦しめているその愚を、改めて考えさせられた。

それにしても、地雷という愚かな武器を作り出した人間、その後始末に手を貸してくれる動物に、深い感謝あるのみだ。その時代、時代の要請に応じて、動物たちは、人間のためにずいぶん働いてくれているのだなと改めて思う。

バンティアイ・スレイ(2012、11月)
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女神のレリーフ 
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奥の方に東洋のモナリザ

以前の旅行記はこちら (同じ写真使用)