照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

目の前の仕事に全力投球することから道は開かれる

新卒でチャンスを逃したら、いわゆる一流企業と呼ばれる会社には、入社できないと思っている人は多いと思う。でも、稀有な例かもしれないが、そのような企業に、中途入社した人を、三例ほど知っている。
 
一人は、日本の大学を卒業後、ワーキングホリデーで、カナダに1年間行っていた。帰国後は、アルバイトを数年続けていたが、やがて将来を見据え、国際会計の勉強を始めた。
 
派遣会社に登録した後、勤務先となったのが商社であった。そこは、就職活動をする大学生の誰もが、一度は夢見る会社だ。一年も経たないうちに仕事ぶりを認められ、派遣社員ながら海外出張にも行った。そして、規定の期間が過ぎるとすぐに、正社員になるよう乞われた。
 
本人が特に望んだことではなかったので、いろいろな点で迷ったようだが、結局は受けた。傍から見れば、何を考える事などあるのという感じだが、当人なりの考えもあったのだと思う。
 
二人目は、高校の時、アメリカに1年間ホームステイして帰国、1年遅れで高校を卒業した。その後再び、アメリカの大学で学び、卒業してから帰国。小規模な会社で正社員として数年間働いた後、アルバイトを経てから派遣社員になった。
 
たまたま派遣された先が、やはり世に知られたメーカーであった。数年後、その会社に正社員として登用されたのだが、この会社も、学生の多くが目指す会社だ。
 
三人目は、日本で大学を卒業した後、自分の希望する業界ではあるが、やはり小規模な会社に勤めた。そこでは本来の仕事の他、何でも任された。だが、夜遅くまで働いて尚、休日など名ばかりというほど多忙を極めた。やがて経営者の交代に伴い、社の方針も変わったこと等、諸々が重なり、3年が過ぎた頃、転職を考えた。
 
次の勤務先は、より規模が大きな会社で、職種もまったく異なったが、前の会社で、何でもこなした経験が役にたった。だが、本人は力不足を痛感し、仕事はハードながら、土日は猛勉強に励んだ。そこで3年働いた後、更にステップアップした。その会社も、超がつくほど学生に人気の職場だ。
 
三人とも、就職氷河期といわれた時期の卒業だ。新卒で、今の会社に就職できたかどうかは、正直なところ疑問だ。だが回り道はしたものの、それぞれが現在、当初予想もしなかった大企業で活躍している。
 
これには、本人の努力はもちろんだが、その時の運も左右していると思われる。誰もが望めば、中小企業から大企業の正社員になれるとは限らない。ただ、最初から大企業しか目に入らない学生に、このような例もあるということを知って欲しく、今回取り上げてみた。

企業の規模に関わらず、また、職種が自分に合うかどうかとか考える前に、与えられた目の前の仕事に、全力投球してみることだ。やがて自分に力がつけば、そこから、必ず道が開かれる。

但しその頃には、自分にとって、会社の規模はもはや重要ではないということにも気づくだろう。ともかく、先ず第一歩は、自分に力をつけることを目標に、最初に縁があった会社で精一杯努力してみることだ。そうするうちに、自分がどの道に進みたいのかも、見えてくる。