築地で海鮮丼 接客のお兄さんはエンターテイナー
築地大江戸 メニューを見る観光客
いきなり4時に起こされて、さあ出かけるぞと言われる。平日なら起きている時間だが、土曜日くらいはゆっくりしようと夢のさなかであった。
シャワーを浴びて、何が何やら解らないまま大急ぎで支度をする。急に思い立ったのかと思いきや、次男はすでにレンタカーの予約もしている。
またハードな日帰り旅行かと覚悟を決めれば、行き先は築地であった。海鮮丼かアジフライ、どっちがいいと聞かれる。アジフライ?と思ったが、余計なことは言わなかった。以前、宮崎駅で買った椎茸めしの例もある。
結局、大江戸で海鮮丼を頂く。並んでいる間に注文をして、店に入ると程なく出てくるのでさほど待った感はない。行列の前後は、フランスの方が多かった。張り出されたメニューの説明をしながら注文を受ける係のお兄さんは、英語や中国語もできるようだ。もちろんフランスの方には、メルシーと合いの手のように入れる。
下の方に僅かに写る白い帽子のお兄さん
このお兄さんは、なかなかのエンターテイナーぶりを発揮している。注文を済ませた客を、通行の妨げにならないようにきちんと並ばせたり、どこから来たのかと話しかけたりして待つ間も退屈しないように工夫している。それでいて、通りがかりにメニューに目を留める人がいれば、すかさず声をかけて説明を始める。
私たちの前に居た新宿からの二人連れと、アメリカ・テキサスからのお一人の方は、お兄さんの「どちらから」の問いかけがきっかけとなって、店内で食事を終えるまで和やかに会話していた。旅先での、このようなちょっとした触れ合いは、その国の印象を良くする。殊更、お・も・て・な・し、とうたわなくても、まさにこのお兄さんの接客態度こそ、おもてなしの原点だと感心した。
先客の、新宿組のうち一人が愛媛出身と知り、お兄さんが、自分は香川と話していたのを聞いていた私は、話しかけられた際、東京でお気に入りの讃岐うどんの店など尋ねてみた。すると、持っていた注文取り用の付箋紙に2店ほど書いてくれた。観音寺のいりこを使っているとか、なかなか詳しく、ついでに観音寺の説明もしてくれる。ちなみに、ご本人は多度津とのことである。
出身地香川の観光大使はもとより、日本の観光大使とも呼びたいようなお兄さんであった。外国からの観光客が多いと感じられる昨今、どの店でも、このお兄さんのような工夫を凝らすなら売り上げアップ間違いなしと思った。
つまり、各店それぞれに、観光大使がいる感じだ。第一、待つ間も楽しく、その気分のまま食べ始めるので、美味しさもアップする。イカとホタテは、特筆ものであった。ぜひご自分の舌で確かめることをお勧めする。
ヒラメの縁側も別に注文
いつの間にか立場が逆転して、長男、次男と、それぞれからご馳走される幸せを噛みしめている。感謝!