照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

老後は自分の収入に見合った暮らし方へ

下流老人とか老後破産とかの文字に、他人事ではないと、ついウエッブ上 の記事に目がいってしまう。だがどの事例も、人生プランの甘さばかりが気になってしまった。

娘さんからマンションの頭金を頼まれ、虎の子の貯金をあげてしまった夫婦の例など、バルザックの『ゴリオ爺さん』を彷彿とさせる。自分のことなど気にもかけない娘の見栄を支えるため、ゴリオ爺さんは、あるだけのお金を出し続け、やがて一文無しになって果てる。

子どもが、社会に出て自分の足で歩き始めたら、親子共に一定の距離を置くほうがいい。それは、有り余る財産を持とうが、無かろうが関係ない。双方共に、親子なのにという甘えは、捨てるべきだ。

親の方もまた、将来をただ不安がるのではなく、自分だけで生を全うするくらいの心意気が必要だ。記事によると、病気になっての不意の出費が、急速な困窮につながることも多いという。確かに、限られた収入で、医療費が増大すれば、生活を圧迫する。

しかし、病は突然降ってくるわけではない。殊に生活習慣病は、文字通り生活習慣を見直すことで防ぐこともできるはずだ。日本人の死因の1位である癌も、生活習慣病なのだから、例外ではない。

誰だって、自分が深刻な病気になるとは、思ってもいない。まして、風邪も滅多にひかないという人ほど、自分の健康に自信を持ちがちで、突然の病に驚くことが多い。だからといって、気づかないのは当然だろうか。

私がいつも参考にしている『生活習慣病に克つ新常識』(小山内博著・新潮新書)によると、健康自慢の人は、むしろ自分の身体に鈍感になっているという。それに、病気は、ストレスが引き金になることは、よく知られている。だが、ストレスだからしょうがないと諦めてもいられない。

高齢者を脅かす認知症だって、どうすればならずに済むか、元気な人を参考に、自分で工夫を重ねることが大事だ。実際、90歳を過ぎた今も一人暮らしで、ママさんバレーのコーチをしている知人もいる。

ずっと独身で頼る人のいないTさんは、日々、自分の身体及び心の状態に気を配り、病気を未然に防ぐような努力をされているのだと思う。

健康なら、少ないお金でも生活はできる。生活のレベルは落とせないなどと言っている場合ではない。生活設計を改めて見直して、自分に出来るなりの暮らし方に舵を切ればいい。老後の生活を不安にさせる言葉に惑わされることなく、健康で倹しい暮らしを目指したい。