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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

「奇跡は、『偶然』では起きない」の記事に

「奇跡は、『偶然』では起きない」園児全員を津波から救った保育所長が伝えたこと(2016/3/13付BuzzFeed Japanより)という記事で、宮城県名取市閖上地区で園児54人全員を避難させ、一人の犠牲者も出さなかった当時の保育所長・佐竹悦子さんの事を知った。

地震の起こる前から、車で避難するため にはどうすればいいか、自分たちで考え抜いた経路を実際に走り、十分なシュミレーションを行ったという箇所に、かつて南三陸町で語り部さんから聞いた話が重なった。

語り部さんも、同様のことを仰っていた。日頃から、津波が来たらどのように車で逃げるか、様々にルートを検討して、実際山道なども何回か走ってみたそうだ。3/11の地震の時は、揺れが収まってから直ぐ行動、訓練の甲斐あって何とか安全な所へ辿り着き、命拾いしたという。

保育所から車で避難したことについては、後に非難する声もあったようだが、現実問題として、徒歩で54人もの幼児をどのように避難させられただろうか。もし津波の被害に遭っていたら、なぜ車で逃げなかったかと、更に轟々たる非難が寄せられただろう。一刻を争う非常事態を想定して、度重なる訓練が行われていたのだが、それも知らずに、言う方は気楽なものだと思う。

佐竹さんは、奇跡と言われることに違和感を覚えたと言われるが、確かにそれは決して奇跡などではなく、事前準備を重ねた結果だということが良く解る。そして、過去の経験に照らし合せて、ここは安全な場所だからとか、自分に限ってという思い込みが一番いけない。やはりある程度の危機意識を持つことは、常に必要だと改めて感じる。

また、素早い判断が出来たのも、日頃から危機意識があればこそだと思う。自分が長という立場で、誰かに相談するわけにもいかない状況で、何を最優先にすべきか解っていたというのが大きい。ここではもちろん、預かった子どもたちの生命だ。親御さんに渡すまでは、大事に守りぬくという思いだ。仕事だからと一口に言うのは簡単だが、その覚悟ある行動に全く頭が下がる。

5年経って初めて知ったこの話に、私は深く感じ入った。今年3月の日並びは当時と同じため、あの日のことは、殊更思い出さずにはいられない。また3/11日前後から、ラジオなども震災の話題ばかりになっていた。だが、それも涙を誘うような演出ばかりで、どこかこちらの気持ちとはずれがあった。

むしろこのような話こそ、自分たちの危機意識を高めるためにも、もっと広められた方がいい。それがひいては、被災地への思いにもつながる。そして、「奇跡は、『偶然』では起きない」という、災害のときだけでなく、何にでも通ずるこの言葉を、しっかりと胸に刻み込んでおきたい。