急ぐ時ほどゆっくり動くー間が良い人になるために
この夏は、猛暑との予測で覚悟していたらむしろ涼しいくらいで、雨が少ないといっていたら、いきなり台風がドカドカとやってきた。不要不急の外出は避けて下さいとラジオで呼びかけていたが、あいにく私は、美容院に予約を入れていた。
その前に、ちょこっと用事を片付けておこうと電車で出かけた。別の路線への乗り換え通路を歩いていたら、「今日は転んでいる人多いね」と、前から歩いてきた二人連れの言葉が耳に入った。日曜日のラジオでも、雨の日は転んで救急車で搬送される人が多いと聞いたばかりであった。
次いで、そういえば私もと、かつてこの緩やかな傾斜になっている辺りで、まるでソリで滑り落ちるように転んだことを思い出した。やはり雨の日であった。
ちょうど冬で、長いコートに守られたのか打撲することもなかった。スロモーションでも見ているかのような感じで、今転びつつあると意識しながら頭を打たないように気をつけていたので、頭も大丈夫であった。少し滑り下りて身体が停止してから、何でもなかったような顔をして立ち上がった。ちょっと格好悪かったが仕方ない。済まして歩きはじめた。
ここでまた同じことを繰り返してはまずいと思った時、ラジオにゲスト出演されていた順天堂大学病院の小林弘幸先生の言葉が頭に浮かんだ。
よく間が悪いというが、自分の体調が悪いとか、環境が悪い(天候など)とか、いつもと様子が違う場合は、普段以上に自分に注意を払い、ゆっくり行動することで、その間の悪さを防ぐことは可能という。
これくらいと僅かの手間を惜しんで、よしんば骨折ということにでもなったら悔やみきれない。ではどうすればいいか、すべて習慣付けてしまえば良いのだ。初めこそ意識的にせざるを得ないが、そのうち自然にできてしまう。
例えば、雨の日は滑りにくい靴を履いて、手摺りに掴まって階段を下りるとか、走らないとか、簡単なことばかりだ。そして何よりも大事なのは、時間にゆとりを持つこと。慌てるから、間が悪い連鎖を生む。それでも切羽詰まったら、深呼吸するといいそうだ。そして、急く心を落ち着かせるためにゆっくりと動く。
さっそく今すぐからでも始めてみよう。今日から私は、間が良い人だ。あるいは、
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
勝手になればって、そのようなことをおっしゃるあなたは、間が悪いままでいいですか?