照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ストレスが野菜を甘くするー仙台曲がりネギ

土曜朝のラジオ(NHK第一・マイあさラジオ)で、全国各地のうまい物として今回(10/8放送)紹介されたのは、「仙台曲がりネギ」であった。文字通り曲がっていて、実はその曲がった部分こそが美味しさの秘密という。トマトなどもそうだが、野菜は、ストレスをかけることで甘みが増すそうだ。

元々地下水が多い土地で、ネギをそのまま植えておくと根腐れを起こしてしまうため、ある程度育ったねぎを一度抜き取り、植え替えるという。浅い畝に横に寝かせて土をかけておくのだが、ネギは、太陽に向かって真っ直ぐ伸びようとするので曲がる。この「やとい」という栽培方法は、明治末期に余目地区で行われ、他所へも広がったという。

野菜は、ストレスがかかると、その環境に適応しようと糖分や栄養を蓄えるという。つまり、結果としてそのストレスが、ネギの甘みにつながったというのだが、まったく畏れいる。

そういえば、かつて寒河江市(山形県)出身の方から、雪の下のキャベツは甘みがあって美味しいと聞いたことがある。なぜだろうと調べてみると、「キャベツは収穫されずに雪に埋もれることで、凍ってしまわないように自身のアミノ酸を糖分に変える」というのだ。もしかして、これなども、キャベツのストレス対策なのだろうか。

ちなみにおすすめの食べ方は、焼きネギということだ。シンプルにネギの滋味を頂いてみたくなるが、私は、曲がりネギをこれまで見たことがない。ところで焼きネギといえば、風邪のひき始めに、ガーゼなどに包んで首に巻くと良いと聞いたことがあるが、この曲がりネギだと巻きやすそうだ。

でも、せっかく手間暇かけて栽培したネギを、そのように使ったのではもったいなさすぎるかな。やはり美味しくお腹に納める方が、風邪にも効果的だろう。味噌とネギの小口切りをカップに入れてお湯を注げば、簡易スープにもなって、具合が悪い時はこの手間要らずが有難い。

しかし、こうしてあれこれネギの使い方を頭に浮かべていると、ネギって本当に優れものだ。薬味には欠かせないが、薬という字が充てられているだけあって、調子が悪い時は身体の中でずいぶん活躍してくれる。

これから風邪が流行る季節に向かうが、これは丁度うまいことにネギが一番美味しくなる時期とも重なる。たっぷり食べてネギの力を味方にし、風邪から身を守りたいものだ。