照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

"コツコツと積み上げたものが運という気を招きよせる"ー『色を奏でる』より

志村ふくみさんが若き頃、黒田辰秋さんから頂いた言葉「運・根・鈍」を綴った章も良い。"(『色を奏でる』ちくま文庫)

"鈍ということは、一回でわかってしまうことを、何回も何回もくりかえしやらないとわからない。くりかえしやっていると、一回でわかったものとは本質的にちがったものが掴めてくる。木のかたまりのなかから仏が生まれ、美しい器が生まれてくる。それが根(こん)ともいい根(ね)ともいうものにつながっている。それを大きく包んでいるものが、運である。運は偶然にやってくるものではなくて、コツコツと積み上げたものが運という気を招きよせるのである。"(P・124)

このような考え、仕事に対する姿勢は、今はもう時代遅れと謗られるかもしれない。何でも効率良くちゃちゃと仕上げるのがもてはやされる時代だ。でも、促成栽培では得られないものもあるのではないだろうか。

だからってどうなんだ。おまえは、本物の良さを知っているのかと問われれば、ひとたまりもない。顔を洗って出直してきますの領域だ。それでも自分の無知を棚に上げて言えば、やはり、物作りばかりか日々の食に至るまで様々な分野で、"昔ながら"を大事にしたいという思いは強い。

"運は偶然にやってくるものではなくて、コツコツと積み上げたものが運という気を招きよせるのである。"に、私は共感する。棚からぼた餅なんて、万が一どころか、億に一でも降ってこないのだ。それに運は、誰にも等しく与えられているのではない。招きよせることできるかどうかは、まさに自分次第だ。Good Luck!