照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

住宅事情へのささやかな雑感

私が今お願いしている美容師さんはとても行動的な方で、興味の趣くままに様々なところへ旅されている。絵画も音楽もお好きで、1月に1度にお会いするのが楽しみだ。話題が豊富なMさんと話していると、こちらまで高揚してきてずいぶん元気が出る。昨年11月にインドへ旅行した際の話も興味深く、カレーパウダーのお土産まで頂いた。これがなかなか優れもので、カレーはもとより炒め物にチャーハンにと活躍中だ。

先日は、少子高齢化から住宅問題に話が及んだ。地方の県庁所在地に住む友人から、周りでどんどん空家が増えているという話を聞いていたが、それは地方ばかりの事ではなかった。美容室の周りでも、空家率が高くなっているという。私の住まいと美容室とは数分の距離だ。散歩していると、確かに一軒が数件の建売になっている箇所が、この数年で加速したような感がある。おまけに、この辺りで一人暮らしをしている高齢者は、買い物難民になりかねないとおっしゃる。駅前や主要道路沿いには、スーパーもコンビニもある。だが奥まった住宅地に住む高齢者にとって、買い物は一苦労だという。長く地域に根ざしているMさんのもとには、いろいろな情報が入る。

別の私鉄沿線の駅前マンションに住んでいる長男の方に、美容室の近くへ来ないかと誘ったところ、不便だからと断られたそうだ。私鉄の駅に近く、JRのターミナル駅までもすぐなので、私は便利と思っていた。だが若い人の感覚では、ここすら不便という事にかなり驚いた。この辺りには、確かに高層マンションどころか、大きなマンションも少なく、全くの住宅地だ。息子さんの住む地域は、飲食店を含めた店舗の数も多く暮らし易いそうだ。こちらは、飲食店の経営も厳しそうと常々感じていたが、人口の問題であったかと納得する。但し、息子さんの住まいも、同区内で美容室から徒歩でも30分あまりの距離だ。ごく狭い地域で、人口配分が偏りだしているということだろうか。 

もっと驚いたのは、地方出身の人が、親が亡くなって空家になった生家を市に寄付しようとしたら断られたという話だ。今や空家は、財産価値がないどころか重荷になっているという。また、雪深い東北のある市では、駅前に大きな集合住宅が建っており、その殆どの住民は、市内の高齢者ということである。タクシーに乗った折、運転手さんが、あれも空家、これも空家と教えてくれたそうだ。その空き家は結局放置される。

たまたま、住宅問題に絡めた同様の記事をプログで読んだばかりでもあった。私が他所事と関心を向けないでぼんやりしている間に、価値観を変える事態があれこれ起こっている。特に新潟・湯沢のリゾートマンションが10万で売りに出されても、維持費が年間20万のため買い手がつかないという話にはびっくりした。スキー人口の減少など、最盛期には想像もしなかったのだろう。実際私自身、スキーから離れてかなり久しい一人だ。

首都圏のマンション事情にも、いろいろ驚かされた。住宅購入を考えている人は、政策に踊らされる事なく多方面から検討した方がいいとしみじみ思った。今無理する必要はないようにも思う。過去から今を思えば、10年20年先は全く解らないものだ。それを35年ローンなんて、考えるだけで無謀に思える。選んだ地域によっては、お荷物になる可能性すらある。

これからは総合的に、様々な面にも目を向ける必要があると考えさせられた一件であった。実態を知らなければ、考えることすらできない。もっとも自分にできるのは、健康に暮らすための方策を立てるだけだ。おかげで、今回も脳への刺激をたっぷり頂いた。うかうかしてはいられない。