メリル・ストリープのスピーチに共感する
メリル・ストリープのゴールデングローブ賞授与式でのスピーチに、私は深く共感する。と、同時に、この人は、女優として優れているばかりか、人として本当に素晴らしいと思う。
真実であろうがなかろうがそんなことには頓着せず、また、誰かを傷つける意図を隠そうともせず、大きな声で言った者勝ちだとばかりに吠え続ける人が、間も無く彼の国のリーダーになるが、人としての品性は必要無いのかと、発言を知るたびに暗い気持ちになる。
月曜夕方のラジオで、メリル・ストリープのスピーチのことを知り、クーリエジャポンの記事(1/9付)で全文を読んだ。そして、この良識ある言葉が、多くの人に伝わり、かつ共感してくれることを心より願う。そのためには、ぜひこのスピーチを読んで頂きたい。https://courrier.jp/news/archives/72974/
部分的に要約または抜き書きしてみると、
"我が国で最も尊敬される座に就こうとするその人物が、障害を持つリポーターの真似をして、想定された観衆を笑わせた演技に、心打ち砕かれる思いがした"
"このような他者を侮辱する衝動が、公的な舞台に立つ者、権力者によって演じられるならば、人々の生活に浸透することになり、他の人も同じことをしていいということになってしまいます。
軽蔑は軽蔑を招きます。暴力は暴力を呼びます。力ある者が他の人をいじめるためにその立場を利用するとき、私たちはみな負けるのです。"
"私たちには信念をもった記者が必要です。ペンの力を保ち、どんな暴虐に対しても叱責を怠らない記者たちが──。建国の父祖たちが報道の自由を憲法に制定したゆえんです。"
(クーリエジャポン1/9付け記事より)
"軽蔑は軽蔑を招きます。暴力は暴力を呼びます"に、まったくその通りだと思う。売り言葉に買い言葉で応酬しあっていたら、誰もが品位などカケラも無くしてしまうだろう。品位とは、気取ったりカッコつけたりすることではなく、自分ばかりか人の尊厳をも守ろうとする意識の上にもたらされるのだと思う。
"特権、権力、抵抗する能力においてはるかに勝っている"人物が、そうでない者を揶揄する行為は、悪ふざけなど通り越して、まさしくイジメそのものだ。そこには、相手に対する尊厳の意識など皆無だ。
それにしても、気に入らないことがあれば、力ある自分は、暴君の如く振舞ってもいいのだと、率先してみせるって、口あんぐりで塞がらない。事もあろうにそれが、全世界に影響を与える国のリーダーとなる人なのだから、余計暗鬱としてくる。これじゃどの芸能人だって、就任式への出演要請を断るはずだ。同じ類の人物だと思われるのは嫌だろう。