照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

タンクトップにハーケンクロイツって平和ボケの証?

オリンピックのロゴマークのデザインから派生して、次々に同デザイナーの作品が槍玉に挙げられている。模倣かどうかといったことに関して、私には、正直なところ発言すべき知識も意見もない。

では、なぜその話を持ち出すのかといえば、ナチスのシンボルとして知られている、ハーケンクロイツ(鉤十字)に酷似したアクセサリー付きタンクトップが、衣料品の量販店で売られていたということを一昨日たまたま知ったからだ。

ツイッターで、両方を並べた写真を見たが、そっくりであった。それをデザインした人オリジナルのアイデアとは、到底思えない。これこそ、模倣したものと、誰でも簡単に推測できる。

デザインした当人も、模倣する以上、それが何を意味するか知っていたはずだ。もし知らなかったとしたら、かなり無知すぎる。それとも、偶然似てしまったのだろうか。私の関心は、オリンピックのエンブレムをデザインした人よりも、むしろこれをデザイン、もしくは案を出した人にある。

それに、販売する量販店側には、チェックできる人がいなかったのかとの疑問も残る。もっとも、客から指摘を受けるまで気づかなかったくらいだから、もともとそのような機能はなかったのかもしれない。だからこそ、商品化され、店頭にまで並んでしまったのだろう。でも、指摘され直ちに、販売中止にしたという。

日本で使用が禁止されていないマークとはいえ、もう少し、想像力を働かせる必要がある。今や、アジアの端っこにある日本でのことが、瞬時に世界中に伝わる時代だ。オリンピックのロゴマークよりも、私たち日本人の教養が問われる、ずっとデリケートな問題だと思う。

日本では戦後70年、過去を教訓として平和への思いを新たにしたばかりだ。だが結局、自国のことのみにしか意識が及ばなかったという証にもなりかねない。

店でこのデザインについて指摘した人曰く、店員さんは「ハア?」という感じで、まったく何のことか解せないようだったという。これこそが、平和ボケではないだろうか。誰でも、心に刻むべき最小限の知識は持っていた方がいいと、考えさせられた一件であった。