照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

スペアリブから玉ねぎ、本へと連想は広がる

スペアリブの下ごしらえに、中位の玉ねぎ一個すりおろしたのだが、水分たっぷりで驚いた。これまで、丸ごとすりおろしたことはなかったので、単に知らなかっただけではあるが。そもそもスペアリブは、あまり肉の塊を食べない私のメニューにはなかった。玉ね…

かつて苦手だったものへの興味が湧くこともある

秋口から、いつもより更に早い電車に乗っている。混雑を避けようと、少しづつ早くなってしまった。学生もちらほらいて、今頃は丁度試験のシーズンなのか、右隣では、数学を解いていた。 (ユークリッド、少し大丈夫な気がしてきた・・)と、解き方を教えてく…

豊かな食卓の光景ー1編の詩から

つましい朝食を済ますたび、ああ美味しかったと、思わず口を突いて出る。そんな時、いつも浮かんでくるのは、河上肇の「味噌」という詩で、”うましうましとひとりごち”が、そのまま私の心境に重なる。 田舎から送られてきた赤芋(里芋)を、味噌と砂糖で味付け…

本や物の処分に悩んだらー自分を旅暮らしと想定してみる

今の住まいに越してくる前、あらゆる物の大処分をした。それ以来、物を増やさないように心がけている。だが、それでも増えてくるのが本だ。なるべく電子書籍にしているが、本の書籍化はまだまだ進んでいない感がある。ちなみに、電子本は、スマホの小さな画…

心が温かさで満たされる本 原田マハ著『キネマの神様』

NHK第一ラジオで、毎週日曜日の夜7時20分から放送されている「新日曜名作座」という番組がある。ニュースの後、何気に聞いていると案外面白かった。それからは、時間がある時はだいたい聞いている。一冊の本をドラマ仕立てにして、ほぼ6回くらいで終える。…

本との出会い 時には自分のアンテナから逸れて

いつもの自分の好みから外れて、時にはジャンルの異なる本を開いてみるのもいい。子供たちが転がしておいた本を読んだことがきっかけになったり、または面白いからと勧められたり、それまで自分のアンテナに届かなかった作家に出会うことがある。 そして、今…

へちまの花咲く子規庵・根岸へ

右側が子規の部屋、前にはヘチマ棚黄色いへちまの花昨日の検診の帰り、かねてより気になっていた根岸の子規庵へ行ってみた。午前中の見学は12時までで、受付は11時40分だ。今回、検診の順番が2番目と早かったため、11時過ぎには終了した。これなら、見学す…

本棚から人を判断するのは難しい

本棚を見ればその人が解るとはよく言われることだが、本当だろうか。私も若い頃から買い集めた本を捨てるまでは、どちらかというとそのような見方を疑うことがなかった。でも次第に、一概にそうとばかりも言えないのではないかと考えるに至った。自分の衣食…

倚りかからず〜自分の頭で考え、自分の足で大地にしっかりと立つためには

電車内で、隣の人に寄りかかってぐっすり眠っている人に、言葉の連想から「倚りかからず」という詩を思い出した。倚りかかっていいのは、確かに椅子の背もたれだけだと、私も思う。倚りかからず 茨木のり子もはやできあいの思想には倚りかかりたくないもはや…

"三月 雨のなかに微笑する"〜ちょっと素敵な言い回しではないか

二月 虹を織る三月 雨のなかに微笑する(片山廣子『或るくにのこよみ』より)如月に、皆様はどのような布を織り上げられただろうか。 今月はまた、ひと雨ごとに暖かくなると言われる季節にぴったりの暦だ。外出する時には疎まれがちな雨も、"雨のなかに微笑す…

『女ひとり、イスラム旅』を読んで

『イスラーム文化ーその根底にあるものー』(井筒俊彦・岩波文庫)で、イスラム文化の基本について知り、次に中東諸国の政治的背景を欧米との関わりから書かれた本等を読むと、現在の中東情勢がだいぶ理解できる。それから、普通の人々の暮らしぶりなどに触…

名古屋での読書会2月 その3

岐阜県立美術館前にて今回の読書会は、主宰される吉原さんを含め4人であった。2名は前回ご一緒した方々と初回から参加されている方たちとのことだ。I さんもMちゃんも、未知な事に真摯に向かい、知ろうとする努力が強い方たちで、私にとっては新鮮な出会いで…

名古屋での読書会2月 その2 〜オディロン・ルドンの絵を訪ねて岐阜県立美術館へ

読書会の前に、岐阜県立美術館へ行くことにした。この美術館にはオディロン・ルドンの絵がたくさんあるので、一度行ってみたいと思っていたが、今回は丁度良い機会であった。名古屋から東海道線に乗り換え、西岐阜まで快速利用で約25分と近い。岐阜の隣駅に…

名古屋での読書会2月 その1

今日は、名古屋での読書会に参加させて頂く。前回お邪魔して、有意義な時間を過ごしたことは、私にとってとても貴重な経験であった。それまではそのような場に参加することなどなかったので、同じ本をそれぞれがどのように読んだのか、とても興味深かった。…

生きる 詩「くらし」に寄せて

これまた凄まじい詩だ。高等小学校卒業後、日本興業銀行で給仕(事務見習い)として働き始めた少女は、戦後は大黒柱として働かざるを得なくなる。一家の暮らしを背負った人の、魂の叫びが聞こえてくるようだ。 くらし 石垣 りん食わずには生きてゆけない。メシ…

倹しい夕餉 詩「味噌」に寄せて

経済学者である河上肇の「味噌」という詩を読むと、素朴な夕餉に、生きる喜びが満ち溢れている。1944年元旦の作という。 味噌 河上肇・・・省略どろどろにとけし熱き芋ほかほかと湯気たてて美味これに加ふるなくうましうましとひとりごとけふの夕餉を終へに…

はぐるまは北風の中へ

少し心が疲れた朝は、叶わぬ夢でひととき遊んでみたい。元気がでたら、勢いをつけて北風のなかへ出かけよう。はぐるまのままでも、しばらくはいいかなと思えてくる。 くるあさごとに 岸田衿子くるあさごとにくるくるしごとくるまはぐるまくるわばくるえ『詩…

詩 風に思う その3

今度は個人ではなく、東電の元幹部が、再び不起訴というニュースに疑問を感じたことから、社会的責任ということについて考えてみたい。会社でのお昼時、福島第一原子力発電所敷地内の放射能高濃度汚染水が、ますます増え続けているというニュースの映像に暗…

詩 風に思う その2

私は誰かの行為を非難したくなった時、裁くのは私ではないと、いつも自分に言い聞かせている。ではそれをするのは誰かと問われても、私などには思いも及ばない人智を超えた大きな力としか答えようがない。自分の中に神の存在がないためか、どうしても神とは…

詩 風 (石川逸子)に思う その1

風 石川逸子遠くのできごとに人はやさしい(おれはそのことを知っている吹いていった風)近くのできごとに人はだまりこむ(おれはそのことを知っている吹いていった風)遠くのできごとに人はうつくしく怒る(おれはそのわけを知っている吹いていった風)近くのでき…

さびしさが押し寄せてきた時でも、寂しさの釣りだしにあわないために踏ん張る

金子光晴は、疎開先で終戦の三ヶ月前、発表のあてもなく、見つかれば死刑という状態でこれらの詩を書きついでいたという。とても長い詩の、出だしと最後の部分だけを引用させて頂く。寂しさの歌 金子光晴国家はすべての冷酷な怪物のうち、もっとも冷酷なもの…

寒い日は ちょっと「てつがく」

この詩は、ご存知の方も多いだろう。哲学するライオンを、自分がおっかなびっくりしながら物陰から見ていたとしたら・・・と想像すると楽しくなってくる。「何してるの?」と直接聞くには身の危険が大きくて、でも聞きたい思いでじっと見ているうちに、こち…

立春に一編の詩

今日は立春、「早春賦」にもあるように、まだまだ寒さからは抜け出せない。でも、ほんの少し、心に春を先取りしたくなるよう詩を見つけた。 春の問題 辻征夫また春になってしまった・・・省略微風にひらひら舞い落ちるちいさな花あるいはドサッと頭上に落下…

生きる 考える力と行動する勇気ーアウシュビッツを一人で生き抜いた少年その2

大人たちも次々に倒れてゆくほど過酷な行進を、トミーは二人の友人たちと耐え抜いた。先頭を歩くのは子供バラックの少年たちだ。トミーたちは疲れ果て、休んでは走って前の列に戻るという事を思いついた。それを繰り返しているうちに、次第に列の中程になっ…

生きる 考える力と行動する勇気 ーアウシュビッツを一人で生き抜いた少年

かつて『 ライフ イズ ビューティフル『というイタリア映画を観た時、子供がユダヤ人強制収容所で生き残るというストーリーに違和感を覚えた事があった。おとぎ話にしても、テーマからすれば現実離れしすぎているように思えた。それが、本屋さんで『幸せな子…

生きる 考える力と行動する勇気 ーオジロワシの子育てに思う

ルンビニ公園の猫 バンコク最終日、朝4時半のチェックアウトまで間があったのでテレビをつけた。日本の天気予報でもやっているかとNHKにすれば、ワイルドライフという番組をやっていた。(英国・スコットランド・荒海にワシが舞い、カワウソが泳ぐ)とタイトル…

力強い言葉 茨木のり子の詩から

茨木のり子詩集は、10代の頃手に入れて今尚持ち続けている大事な一冊だ。折にふれ、それぞれの詩から言葉を拾い読みしている。ユーモアに包まれた鋭い言葉は、全く古さなど感じさせない。暗い時代を生きてきた人の、その時代を繰り返さない明日にしようとい…

自分の感性を磨く 小さな事からでも

先日名古屋へ行くため、久しぶりに新幹線を利用した。曇り空に富士山は無理としても、多少の山なみを楽しもうと、大阪へ向かって右側の座席を選んだ。だが、通勤列車並みの過密ダイヤでは、上り列車とのすれ違いが頻繁で山など望む雰囲気ではなかった。点と…

出会わなかった言葉 読書に寄せて

冬の薔薇 これまで生きてきた間に、自分が出会わなかった言葉はどれほどたくさん有るのだろう。むしろ逆を数えた方が早いかもしれない。 新聞の字を拾いながら読んだ幼い頃からこれまで、随分沢山の文字に出会ってきた。活字に興味を持って以来、本は手当た…

名古屋での読書会 その3

各種シューマイ ウェスティン 柳城海鮮焼きそば ハーフ ウエスティン 柳城「本物と偽物の概念・定義とは?」とか、「まっとうな大人になるとは?」など吉原さんが設定された幾つかのテーマがあり、それに沿って自分が本から読み取った事などを順番に述べてゆ…